ヴィルト·ウィタスとラエティア

「僕は、リピウムという村で師匠と出会いました」




 パクスが二人と出会ったことを思い出すため、話しを聞いていた。




「僕はウィタスという家名の貴族の子息なんですが、その日、父に連れられリピウム村に行っていました。そこで、途中魔物に襲われたんです」




「ーーその時、パクス様に助けて頂いたんですね!」




「はい!」




 ベレスが会話に参加し、話しが盛り上がっていった。




「…………」




 そんな中、パクスは顔に手を当て、考えるポーズをとっていた。




「ーー師匠、どうですか?」




「リピウム村…ヴィルト·ウィタス…ーーヴィルト…ヴィルトか!」




 どうやら、思い出したようだ。




「久しぶりだな!!」




「ーーはい!お久しぶりです!」




 パクスがヴィルトのことを思い出し、またもや会話が弾んでいった。




「む~~!」




 その光景を横でラエティアが頬を膨らませて見ていた。




「お師匠様!あたしは!?あたしは!?」




 そんな空気に耐えられなかったのか、ラエティアが食いぎみに聞いてきた。




「ラエティア…」




「お師匠様、ひどいッス!」




 知らない顔をしていると、ラエティアが悲しい顔をし、髪の色も変わった。




「なぁ、その髪…」




「あ!お師匠様、思い出しましたか!?」




「いや、まだだけど…なんでいちいち色が変わるんだ」




 パクスが話しを切り出すと、ラエティアは嬉しそうな表情になり、髪の色が黄色へと変わった。




「あ~!お師匠様忘れてる!ひどいッスよ」




 悲しい表情をした途端、青色へと変わった。




「分かった!思い出すから、えっと…ラエティア。話しを聞かせてくれ」




「む~。分かったッス」




 そして、ラエティアはパクスと出会ったときのことを話し出した。




「お師匠様と出会ったのは…いつだったか忘れたッスけど、あたしの故郷のアドリビ村に度々来てくれたんです」




「俺が?」




「はい!」




 また、パクスは考え込んだ。しかし、パクスの記憶力では、思い出すのが難しかったのか、なかなか思い出せずにいた。




「う~ん。もっと情報とかないのか」




「情報…ッスか?そうッスね……よくお爺さんの人と一緒にいたと思うッス」




 (お爺さん…爺さん!)




 ラエティアからお爺さんという言葉がてできたことから、パクスの頭の中に老人といた思い出が駆け巡った。




「お爺さん…ということはパクス様のお爺様ということですか」




「いや、正確には俺の爺さんじゃない。まぁ、なんていうか…俺の恩人だ」




 どう説明すればいいか分からず、なんとも曖昧な返事をしてしまった。




 (異世界からきた俺のことを助けてくれたーーなんて言えるわけねぇもんな…でも、そうか。爺さんといて、アドリビ村というとーー)




 老人と一緒にいて、アドリビ村へといったときの思い出。そこからパクスはなんとか思い出そうとした。するとーー




「ーーラエティア…お前、よく俺に絡んできただろ?」




「そうッス!そうですけど…絡んできたって言うのはちょっと違くないッスか?…愛と言って欲しいッス」




「え!?」




 髪の色を黄緑色へと変えたラエティアの発言に、ベレスは強く反応した。




「どうした?」




「い、いえ。何でも…それより思い出したんですか?」




「ああ。ヴィルトにラエティア。久しぶり」




「お久しぶりです」




「久しぶりッス」




 久しぶりに会った、知り合いにパクスは胸踊るような思いがした。 


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