称号者"英雄"(ヒーロー)誕生!

 突如現れた、"革命"の称号者、フリエスに二人は驚き、また、審議が終わったと聞いてもパクスは驚きを隠せずにいた。




「終わったのか……」




「ああ。だから、王城へと呼ぶよう、私がきた。


ーそれにしても、まさかフィム村がこれほどの惨状だとは…」




「それを確認しに俺たちはきたんだよ」




 フリエスは辺りを一瞥しながら言った。




「情報では魔獣の仕業だと…君たちが倒したのか?」




「まぁ、倒したっちゃぁ倒したけど。黒幕は神の十柱っていう奴だ」




「何!?神の十柱だと…!?」




 パクスの言葉にフリエスは信じられないような反応をした。




「ああ。神の十柱の一柱…」




「名前は、アルブムと名乗っていました」




 パクスの言葉に付け加えるようにベレスも続いた。




「アルブム…そうか。ありがとう」




 フリエスは確かな情報に感謝し、謝意を述べた。




「それで、審議が終わったんだよな」




「ああ。王城へ来てくれ。そちらのお方もご同行願います」




 フリエスは流麗な動きで、ベレスにも同行するよう言った。




 …………




 パクスとベレスはフリエスに同行し、王城へと着いた。途中で、ベレスは神の十柱についての話し、村のことについて話すと別れた。




 パクスが案内されたのは、訓練場ではなく、謁見の間といえる場所だった。扉を開けると周りは騎士の人達が立っており、奥には段差、階段があり、その上に豪華な着色、装飾が施された、椅子が二つ。どう見ても、王様などの貴族の人が座る物と思った。




 首を動かし、よく見るとフラマの姿もあった。その隣には、紫色の髪をツインテールにまとめた、幼女のような人が並んでいた。




 すると、フリエスもその隣へと並んだ。




 どうやら、称号者の人達が並ぶ場所らしい。




 幼女の方は分からんがたぶんそうなのだろう。




 段差の前に並んでいる。よく見ると、目の前に人が二人立っていた。一人は黒い髭に冠を被っている、背の低い男。もう一人は銀の装飾が施された扇を片手に持っている、長身の女。王様と女王だろう。




 パクスは扉が開き、その周りの光景を見たとき、内心すげ~。と思った。




 パクスは一人中央を歩き、王様の前までいき、止まった。




 ここから、どうすべきか正直分からなかった。




 それはそうだろう。何が起こるのかはだいたい分かっていたが、どう振る舞うかは知らなかったのだ。




 (確か……)パクスは元の世界のアニメ、漫画の知識を元に、右手を胸に添え、右足を後ろに、左足はそのまま曲げ、頭はやや下げ、姿勢を低くするポーズ。なんとなく、礼儀を示すポーズを取った。




 (どうだ…)




 咄嗟に行動したが、周りからは何も聞こえてこない。どうやら、大丈夫のようだ。




「面を上げよ」




 すると、王様が顔を上げるよう言った。




「儂はアウロラ王国、国王"ユース·アウロラ」




「女王 ティティア·アウロラ」




 王様、女王はそれぞれ名を名乗った。




「パクスよ。貴殿のことは聞いておる。煉獄の称号者から推薦があっての」




 すると、王様は前置きなのか、話し始めた。




「現、称号者の者と互角に闘えるのはそう、おらん。知っておると思うが、現、称号者は三人。数だけ聞けば、少ない」




 王様は淡々と述べる。




「称号者とは、国のため、世界のために、民を守ってくれる存在じゃ。しかし、三人では、限界がある。そのため、貴殿を…と考えておる」




 このままいけば、称号者になれるコースだ。




「じゃが、お主に聞きたいことがある。称号者にさせるかどうかは、その質問の問いに答えてからじゃ」




 最後の関門があった。




「貴殿は…国のため、世界のために称号者として、民を守ると誓うか?」




 それは、称号者としての忠誠心…?を確かめるものだった。




 パクスの答えはもう決まっている。




「私は、明確な目的を持って、騎士団に入ろうと思ったわけではありません。普通に平穏な日々を過ごせればそれでいいと思っていました。しかし、そんな日々を奪う存在がいると、知りました。私は…称号者となり、民を、国を、世界の平和を守る英雄になると、誓います!」




 今の自分では、そんな力量はないと分かっている。だが、このままでは異世界にこれたのに、何も得られない。




 憧れの英雄になるために、パクスは称号者となり忠誠を誓うと、王様だけにではなく、周りの騎士の人々にも力強く言った。




「ならば!貴殿を"称号者"へと任命する!役目を全うせよ!」




「はっ!!」




 王様が猛々しく、宣言した。パクスを、称号者に任命する…と。




 すると、周りから、喝采の拍手がなった。




 みんなが、パクスのことを祝福してくているようだった。




 (爺さん。爺さんの言う通り、みんな優しい人だな…)




 パクスは老人の言葉を思い出し、感傷に浸った。




「パクス。称号者になった貴殿に、称号を授ける。好きな称号を述べよ」




 称号者として、自分にあった称号を手にすることができる。




 パクスはもちろん決まっている。




「でしたら、英雄ヒーロー…を」




「承知した!貴殿に"英雄ヒーロー"の称号を与える!」




 パクスは"英雄ヒーロー"の称号者になった。




 だが、例え称号者になっても、本当の英雄になれるとは限らない。それは今後の活躍次第だろう。




 でも、なれるかもしれない。




 夢見ていた、剣も魔法もある異世界なら、こんな俺でも、自分が思う、憧れのヒーローに……。

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