感情

 パクス…いや、ここでは■■■と言おう。




 ■■■は地球で生きていた平々凡々な男子高校生だった。




 ■■■の性格を言えば、感受性が高いと言えるだろうか。




 ■■■には親友と言えるほど、めちゃくちゃ親しい人はいない。と言っても、友達と呼べる存在はいた。




 しかし、■■■はそんな友達に良い印象が浮かない。その理由は先ほど述べた、■■■の感受性が高いことだ。




 人は初対面の人と接する時は、人見知り、内気な感じを出す。中には、コミュ力が高い人もいるだろう。だが、大半は内気な人が多いと思える。




 そんな人達は最初は、過度な接触を避け、会話も穏やかな明るい会話をする。




 だが、早くて一週間ぐらい経過すると、少しずつおふざけと呼べる行動が増えてくる。




 テストの点数を比べたり、軽い小突き合いが多くなる。そして、日が経過する度にだんだんひどくなっていく。




 ■■■の近くにいた友達もそんな人達だった。テストの点数を比べたりしていた。中には、■■■より成績が悪い人も、逆に良い人もいた。




 良い人は■■■に「馬鹿だな~」など、悪い人はそんな良い人の方に加担したりしていた。




 ■■■はそんな言葉を聞くのが嫌だった。




 友達は別に悪気などなく単なる、悪ふざけだと思っている。しかし、■■■からすると、その言葉に心を傷つけられた。また、他人が何かの賞を受賞したりするところを見ると、嫉妬心がうずいてしまう。そんな時、■■■は(なんで、自分に良い結果が来ないんだ…)とストレスがたまり、傷ついてしまう。




 ■■■は感受性が高く傷つきやすい性格なのだ。




 ■■■は異世界に憧れていた。この世界と比べると、異世界には魔法や剣があり、自由に暮らせる。こんな、ストレスがたまり、嫌なことしか起きない世界に比べれば…と毎回思っていた。




 ■■■は暇さえあれば、妄想という現実逃避をしていた。そんな夢が叶ったのか、異世界にくることができた。




 念願の異世界。あんな世界よりも幸せな未来がある、と"パクス"は思っていた。




 しかし、異世界にきても現実は現実。味覚も嗅覚も聴覚も…五感、感情は変わらず感じる。




 現実だと、嫌なことが起きる。異世界では、そんなことはないと思っていた。だが、そんな思いが…裏切られた。




 パクスの夢は…誰に言っても鼻で笑われるような夢であるが、"異世界で英雄となり、幸せになる"なのだ。




 そのためなら…邪魔するものは許さない。




 どんな物語でも、自分にとっての"敵"という存在がいる。それがどんな存在なのかはわからない。だが、パクス…■■■の夢である異世界にくることはできた。後は英雄となり、幸せな生活を送ること。




 しかし、敵により夢が脅かされてしまうかもしれない。だから、■■■は決めた。




 (神の十柱…俺はお前らを倒す!)




 ベレスの故郷を破壊し、平和を脅かす存在。




 そんな存在を■■■…パクスは明確に"敵"と認識した。




 …………




「ふむ…情報にはあったが、まさかこれほどとは…」




 ベレスは魔力切れにより動けず、パクスは自分の感情に浸っていると、村の入り口から何者かが、入ってきた気配がした。




「ーー」




 現れたのはやや長めの空のような水色の髪をなびかせ、腰に剣を帯剣した、優男だった。




「……」




 突然現れた男に対し、パクスは警戒を露にした。




 だが、警戒されていると感じた瞬間、男はすぐに名乗った。




「そう、警戒しないでほしい。敵ではないよ。私は"革命"の称号を持つ称号者。フリエス·フォルマ」




「ー!?」




 その言葉を聞いた途端、二人は驚いた。




「国王からの指令でね。王城へ来てくれ。審議が終わった」




 それは、パクスが気になっているうちの一つの重大な知らせだった。

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