フィム村
「私の故郷の村…ですか…」
暇な時間ができどこに行こうか悩んでいるところパクスはベレスの故郷の村に行きたいと言い出した。
「どうして、ですか…」
ベレスは困惑したような目をし、躊躇いながら、聞いた。
「この前ベレスの村について話してもらったろ。魔物の存在、村の状態について気になってな…」
魔物により、村は壊滅された。遅れて国からの助けは来たようだか、魔物が討伐されたのかは分からないらしい。パクスはいろいろと気になったのだ。
「…………」
ベレスは困惑し、押し黙ってしまった。
「どうだ?」
パクスは臆せず聞き続けた。
「…分かりました。行きましょう」
ベレスが道案内をし、故郷の村に行くことができた。
…………
「ここ、か…」
「…はい。ここです、ここが私が育った"フィム村"です」
アウロラ王国から少し離れた場所に着いた。
途中で魔獣がでてきたりしたが、パクスの【力】により、簡単に倒すことができた。
村には歩いて一時間くらいで着いた。
村に着くとまず目にするのは、荒れ果てた土地次に崩壊した家屋だった。
「これは…ひどいな…」
育てられていたような作物が粉々になり、畑なども荒らされ、家が崩壊していたのだ。
誰がどう見てもひどいと思うだろう。
「なぁ、ベレスーー」
ベレスに聞こうと思ったことを口にしようとしたが、途中で思いとどまった。
横でベレスがうずくまり泣いていたのだ。
「大丈夫か…」
パクスが優しく背中を撫でた。
ベレスは変わらず嗚咽していた。
(無理もないか。故郷の村がこんなんじゃな)
自分の育った村の状態を目の当たりにすると、仕方のないことだった。
(こんな惨劇な状態を作ったのが…本当に魔物、なのか…)
とても、魔物だけでここまでできるとは思えなかった。
「大丈夫か?」
「はい…すみません」
「いや、仕方ないさ。こればっかりは」
ベレスが少し落ち着いたところを確認し、パクスは村に入り、詳しく見始めた。
足跡、壊された部分など…鑑定人というわけではないが、何か分かるかも知れないという思いからだ。
…………
そこから、二人別々に村の状況を見て周った。
いろいろと気になるところを重視してきたが特に何も手がかりになるようなものは見つからなかった。
(何もないか…)
「一旦ベレスと合流しようか」
ベレスと合流するため探していたが、ベレスは柱が折られ崩落した家の前で座っていた。ただ、座っていたのではなく、泣いてもいたのだ。
「ベレス…大丈夫か?」
「ここは、私の…家族と過ごした家でした」
(自宅ってわけか…)
「この前を通った時に、涙が、溢れてきて…」
そしてベレスは泣いた。大粒の涙が地面に落ちるのが見えた。
その時…
「ー!?」
近くで大きな雄叫びが聞こえた。
「なんだ…?」
ドシンドシンと少しずつ大型の獣が歩く足音が聞こえ、徐々に近づいてきていた。
そして、大型の角の生えた熊のような魔物が現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます