第31話 終了

「はぁはぁ…」




 パクスとフラマの闘いが過激化していたが、突如パクスが膝をつき、額には脂汗を浮かべていた。




「ーおいおい、どうしたァ。もう終わりかァ!」




 誰から見てもパクスの体調が優れていないことが分かる。




 だが、今は騎士団入団試験の最中、しかもパクスが模擬戦をしている。




 合否を決めるのは騎士団員の人たち、つまりパクスと闘っているフラマだった。




 そしてそのフラマは…




「まァだ、試験は終わってねェぞォ!」




 パクスが膝をついていてもお構い無しに試験を続行させた。




「うっ…げほぉ!」




 フラマの右蹴りにパクスは対応することができず、飛ばされた。




 蹴られた後もパクスは身動きがあまり取れなく、"ヒーロータイム"が切れた。




 (時間…切れ…!)




「はっ!なんかおもしろかったが時間制限があんのかよ」




 パクスの【力】は主にエネルギー的なものを原動力にしている。体力などそういったものだ。




 "ヒーロータイム"は例えると、全力疾走をしている状態だ。全力で走り続けると疲れ、息切れし体が重くなっていく。




 パクスの状態はまさにそれと同じだった。




「おら!立て!騎士になりてェんだろ?これくらいでくたばるようじゃ、すぐに死ぬぞ!」




 フラマがパクスを奮い立たせようとしているが、パクスはめまいが止まらず、呼吸しても回復しているとは思えない状況だった。




 そして…




「はぁはぁ…」




 パクスは気を失い、倒れてしまった。




 パクスが突如倒れたことに、周りの人々は喋り始め、周囲にどよめきが走った。




「ちっ!終わりか…おい!」




 フラマは体中の温度を下げ、高温状態を解除していった。そして、周囲の騎士団員の人を呼び掛けた。




「はい」




「こいつを医務室にでも運んでやれ」




 フラマはパクスを医務室へ運ぶよう命令した。




 周囲ではまだ、どよめきが走っている。




「静まれぇ!!」




 そんな空気を変えたのは試験監督のベックだった。




「試験はまだ終わっていない!次の者前へ!」




 そう言い、一瞬でどよめきが止まり、試験が再開された。




「フラマさん。パクスの奴に関してはどうするんですか」




 ベックがパクスのことについてフラマに話しかけた。




「どうするッつっても…今回の試験監督はお前だろ。お前の判断に任せる」




「は…は!分かりました」




 フラマは特に何も言わず、ベックに任せ、訓練場をでていった。




 訓練場では、受験者たちの必死な声が聞こえるなかフラマは…




「パクスの奴、せっかく熱くなってきたっていうときに倒れやがって…だが、あいつが強くなれば…ハハッ」




 歩きながら独り言を呟き、笑った。

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