第26話 模擬戦 2

「あ~、やべっしんど」




 ベックとの模擬戦が終わり、あと残り一回の模擬戦を待ち上のベランダから他の人の模擬戦を見ていたパクスはため息をついていた。




 (まさか、勝っちまうとは…)




 ベックとの模擬戦で勝利し、他の受験者の人達から何かコツでもないかと問い詰められた。




 だが、ベックが「おい!パクスはお前らとは違う。真面目に戦い、力をだしきれば良い結果が来るんだ。自分で考えろ!」




 と、黙らせてしまった。




 それに関しては特に悩んでいなく、パクスが悩んでいるのは…




 (…俺って、もしかして結構強いのか?)




 他の受験者の人達はまだ誰一人勝っていない。




 パクスだけが唯一勝ち上がった。




 それも試験監督を相手にだ。




 若干、卑怯な戦法だと思う人もいるかもしれない。だが、勝負の中で卑怯もクソもないのだ。




 そんなことから、パクスは自分が強いのではないかと思い始めた。




 (………まぁ、いいか…)




 だが、すぐにそんなことを考えるのをやめた。




「それより、二回戦目だな…」




 次の最後の模擬戦について考え始めた。




「次は誰なんだ?」




 パクスの模擬戦の順番は前に残り二人だった。




 つまり、二人の模擬戦が終わった後がパクスの番である。




「ぐわっ!!」




「そこまで!」




 今、一人の模擬戦が終わり、残り一人となった。この次がパクスの番である。




 (うわ~、緊張する)




 何回しようと、この緊張感は拭えない。




「次の者、前へ!」




 一人の男が訓練場の中央付近に立ち、構えた。




 そして、相手となる騎士団員の一人が現れた。




 …はずだった。




 受験者の準備ができても相手が現れたりしなかった。




「………」




 (何だ?どうして、出てこない…)




 受験者の人達だけでなく、騎士団員の人達も何が起こっているのか分からなかった。




 ………




「よォ、待たせたな!」




 突如、入り口のほうから、覇気のこもった声が聞こえ、全員が入り口の方へ振り向いた。




 そこに立っていたのは、長髪の赤毛をし、右目の眼帯が目立つ男がいた。




 (誰だ?)




 赤毛の男は中央付近へと歩き…




「お前の相手は俺だ!」




 と、言った。




「え!?」




 突然のことに、誰もが事態をのみこめていなかった。




「なっ!?フラマさん、どうしてここに…」




「あァ?面白そうなことをしているからよォ。俺も混ぜてほしくてなァ!」




 突如現れ、相手になると言った赤毛の男…フラマはそう言った。




「でも…これは入団試験です」




 そう、これは騎士団入団試験である。そこから突如侵入してきた、人に相手させるわけにはいかなかった。




「あァ?だったら俺が確かめたほうが良いだろうがよ」




 だが、フラマはそうわけの分からないことを言った。




「あ、あぁ確かにそうですね…では!これからこのお方が相手になってくださる!」




 ベックはフラマを模擬戦の相手にすることを了承した。




 (は!?何で?誰だ?)




 だが、突然のことで受験者の誰もが理解出来ずにいた。




「いいか、良く聞け!この人は"煉獄"の称号者フラマさんだ!」




「「えーー!?」」




 突然の紹介に全員が驚愕の表情を隠せずにいた。




 (この人が、称号者…)


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