第10話 老人との修行

「な!?魔法が使えないとはどういうことだ!」




 パクスが言った言葉の意味を確かめるべくヴィドはどういうことか聞いた。




「どうと言われても…そのままの、言葉通りの意味だよ」




 だが、パクスは詳しく説明することなく、言った。




 それもそのはずパクスは魔法を使うことが"できない"のだから。




 このことについて説明するには、時を遡り老人との修行について話そう。




 ………




「ふぉ、魔法についてじゃが、まずどのような魔法があるのかについて知る必要があるかの」




 老人と修行を始めるにいたって魔法について教えてもらっていた。




「魔法の種類は基本となる火、水、土、風の四属性がある」




「なるほど」




「また、他にも特殊属性というものがある」




「うん?特殊属性とは?」




 どうやら基本属性の火、水、土、風以外にも魔法の種類があるらしい。




「まあ待て、まず基本属性は生まれつき誰しもが使える魔法をいう」




「じゃあ火、水、土、風は誰でも使えるんだな!」




「そうじゃ。まあ、相性により得意不得意が別れるがの…。そして特殊属性というのは、基本属性と別で才能ある奴だけが扱える魔法じゃ」




「才能ある人だけか…」




 才能と言われ、自分には特に秀でた才能がないことで落ち込んでしまった。




「それじゃ、続けるぞぃ。特殊属性の種類には空間魔法、雷魔法、光魔法、闇魔法、聖魔法、そして複合魔法がある」




 …聞いた話をまとめると、




 魔法とは、魔力により引き起こされた力の総称をいい、人によりその力を制御して扱うことを"魔術"というらしい。でも、ほとんどの人はそんな区別なんか知らなく、魔法と言っているらしい。




 …俺もめんどいから、ほとんど魔法というなぁ




 ちなみに、人には生まれつき魔力を持っており魔力の大きさで使える魔法の種類が決まるらしい




 魔力の大きさを知るためには"魔力感知"というのを使えば分かるらしい。訓練すれば誰でも使えるのだとか…




 空間魔法···空間を操る。主な魔術としてテレポートや次元収納などがある




 雷魔法···電気を操る




 光魔法···光を操る。他にも強化バフ、回復魔法などが使える




 闇魔法···弱体化デバフ、呪術(呪い)などが使える




 聖魔法···主に聖職者の人しか使えない。どんな力かは謎に包まれているらしい




 複合魔法···それぞれの魔術を組み合わせる魔法、例えば、火+水、風+土など




 …「さて、説明が終えたから、お主の魔力を見るかのぅ」




 そう言って、老人は魔力感知を発動した。




 ………




 ………




 ……静寂な時間が流れる。




 (…長いな、少し気まずい感じが…)




 と思っていると、




「なんと!?これは、お主魔力ゼロじゃと!?」




 老人が驚き、愕然としていた。




 そんな中、パクスは、




 (え?何?魔力ゼロ?だって)




 事態を呑み込めずにいた。




「…パクスよ、落ち着いて聞いてくれ。お主の魔力はゼロ…つまり、魔法が何一つ使うことができぬ」




「え?マジ?」




「ま、マ、ジ?う、うむ。こんなこと初めてじゃ」




 どうやらパクスは魔力ゼロで魔法が使えないのだとか…悲しい、泣きそう…




「そ、そうか…魔法デビューができないとは…」




「じ、じゃが、お主は不思議な【力】を持っておる。魔法より謎が深い不思議なものじゃよ…?」




「はぁ、そうか…ありがとう…まぁ、使えないならしょうがないよな…俺には不思議な【力】がある!それで、強くなってやる!」




 ………




「まぁ、そんな理由で、俺は魔法を使えない」




 ヴィドに魔法が使えないという経緯を話した所…




「ちっ、使えない奴がこの世にいるとは…」




 舌打ちされてしまった。




「うん?待て、君の話を聞いたところ君には不思議な【力】があると…?」




「ああ、そうだ」




 魔法が使えないことを知ると、【力】について焦点をあてはじめた。




「なら、それでいい。その【力】で守ってくれたまえ」




「わかった…」




 ヴィドの護衛をしていくことになった。




「さ、もう、遅いし今日はもう寝よう」




 辺りは暗くなり、月が出ていた。時間にすると、11時くらいだろうか。




「おい!護衛なんだから見張りをしろよ!」




 ヴィドが声を荒げた。




「大丈夫。俺の【力】で辺りは監視できる。ちゃんと休まなきゃお前さんを守れないんでな」




「ちっ、そうか…わかった。ちゃんとしろよ」




 (はいはい。まったく)




 そうして、パクスは次第に眠りについた。


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