第8話 騎士団入団試験

「ここが、訓練場だよな?」




 試験のため、会場である訓練場に着いた。




 ちなみに王城と騎士団本部は隣接していて、訓練場も端のほうにある。




 (結構人いるな…。この人達全員入団志望か?)




 訓練場にいる人達は合計で100人はいる。この中から何人が合格するのか分からないことから、全員をライバル視する必要があった。




 (ふぅ~緊張するな…)




 と、思っていると…




「これより、騎士団入団試験を開始する!志望者は集まれ!」




 鎧を着たがたいのいい男が大声をあげ、試験を開始すると言ったのだ。




「俺は、この試験監督を務める"ベック"だ」




 (この人、ベックさんが試験監督か…)




 試験監督の男はベックというらしい。正直、ちょっと苦手なタイプかな…




「試験は全部で2つある。一次試験を合格したものだけ二次試験を受けることができる。何か、質問があるものはいるか?」




「よろしいでしょうか?」




 質問があるかと問われ挙手したのは、金髪で剣を持った、貴族らしき男だった。




「何だ?」




「一次試験、二次試験についてどのような内容かお聞かせ下さい」




 聞いた内容は試験の内容だった。




「何だその質問は?!一次試験の内容は後で説明する。黙って聞け!」




 (まぁ、そりゃそうだ)




 聞いた内容からの返答としては、当然の反応だったと思われた。




「まず、ここにいる全員に徽章を渡す」




 係の人から青色の徽章を手渡された。




「おい、やってくれ」




 と、ベックがいうと、となりにいた男が…




「空間魔法 "テレポート"」




 と、言った直後、試験員の人達と受験者の人達を包み込むような魔方陣が表れ、淡い光が発し


、目を開いた途端、見た光景は森だった。




 (森?何で?というかテレポート?魔法か…やっぱりいいな)




「「え!?森?ちょっとどういうこと?」」




 いきなり場所が変わり、ほとんど全員が動揺していた。




「なるほど、ここが本当の試験場所ということね」




 そんな中、言葉を発したのは赤色の髪をツインテールにまとめた女だった。




 (確かに場所を移したってことは…)




「その通り、本当の試験場所はここだ。」




 テレポートしたことにより、場所が変わり本当の試験場所はこの森になった。




「それでは、一次試験の内容を説明する。内容は簡単、さっき渡した徽章を持ったままこの森から脱出することだ!」




 (森から脱出…一見簡単そうだがこの森には…)




「へッ、そんなの簡単じゃねぇか!だろ、みんな?…あれ?おい」




 一人が簡単だと試験を甘く見ていたところ…




「バカね。この森には魔物がいるわ。そんな簡単なわけないでしょ」




 と、先ほどの女が罵った。




「またもやその通り!この森には魔物がうじゃうじゃいる。探知魔法を使えばすぐに分かる。実際他にも何人か気づいているはずだ」




 監督官が言った一言に驚いたりすることなく、全員が固唾を呑み話を聞いていた。




「ちなみに、先ほども言ったが合格条件は徽章を持ったままこの森から脱出すること。もし、徽章を失くしたり、時間内に脱出出来なかったものは即座に失格だ。」




 内容を聞いていた受験者にさらに追い討ちをかけるよう監督官は言った。




「それと、もし死んでしまっても失格扱いだから気を付けろ!」




「「え!?」」




 突然の言葉に全員が驚いた。




「待って下さい!死んでも失格って、おかしいじゃないですか?それじゃ、殺しあいだってはじまります」




 異議を唱えたのは金髪の男だった。




「何もおかしくない。これほどで死ぬならば騎士団にいらん。それに、ライバルを消すことができ、自分の強さを広める絶好の機会だ」




 (なるほどな…)




 殺しありといわれ、味方なんて誰一人いない中全員が全員を敵視する空気がながれた。




「期間は三日間!せいぜい頑張れ!」




 と、言った直後、魔法を使った男がもう一度テレポートを使い、監督官らは全員消えた。




 それが、試験開始の合図なのか、まさに受験者たちによる"殺しあい"が始まり、全員散り散りになっていった。




 (さて、始まったな。生き残って、絶対合格してやる!)




 その場から離れたパクスは森を下りながらそう思った。

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