第7話 アウロラ王国

「はぁ…やっと着いた。ここが、アウロラ王国か…」




 旅だって2日、パクスは目的地であるアウロラ王国へと、たどり着いた。




「思ったより、遠かったな…いや、これでも速いほうか…?いつあるのか分からないからな…"騎士団入団試験"」




 パクスは老人がすすめた騎士団へと入るべくアウロラ王国へと向かいたどり着いた。が、入団試験がいつあるのか分からず、間に合わなく入れなかった、ということを防ぐべく急ぎ気味で向かったのだ。




 旅立ちの服装としては、軽装であり、老人の家にあった動きやすい服、上着に黒色のローブ、武器に直剣が一本、路銀として銀貨10枚、銅貨10枚だけである。




宿で一泊するには、申し分ないが速く安定した生活を手にいれるため騎士団に入団したい、という意志がパクスにはあった。




「ん?」




 王都の入り口が見えてきて、門前で行列がてきていることに気づいた。




(…通行税かな?ということは、あの行列全員王都に入る人達か…)




 自分も王都へと入るべく、列に並んだ。




 ………




「やっと、俺の番か…」




 自分の番になり、通行税を払いパクスはようやく、アウロラ王国の王都へと足を踏み入れることができた。




 ちなみに通行税には、銀貨1枚かかるそうだ。




「ふぅ…さてどこに向かえばいいのかな?」




 王都に入ることはできたが、目的地である場所がどこか分からず、四苦八苦していた。




 (分からないなら、聞くしかないか…)




 近くにいる人に、訪ねようと、歩いている青年に声をかけた。




「あのー、すみません。騎士団入団試験を受けるためには、どこに向かえばいいのでしょうか?」




「あぁ、騎士団に入るつもりですか?」




「はい。なので、場所をお聞きしたいのですが…」




「でしたら、ここから見える王城に向かって、門番の人に聞けば詳しく教えてくれますよ」




「ありがとうございます」




 青年は優しく教えてくれた。どうやら、老人が言った通りこの国に住んでいる人は心優しい人が多いと思えた。




 青年に教えてもらった通り、王城に向かって進んでいると…




 路地裏で、一人の女性が倒れているのを見かけた。




「…大丈夫ですか?」




 倒れている女性を見過ごせないと思い、パクスは声をかけた。




「ーッ!」




 だが、返ってきた返答は予想していたものではなく、ビックリして驚き、さらには恐怖しているような表情をされた。




「あ、あのー…」




 女性は返答することなく、一目散に走り去ってしまった。




 (何なんだ…あの人?大丈夫かな?)




 走り去ってしまった女性のことを気にして思った。だが、当然だろう。女性は古く汚れた服を着てフードを被り顔は隠していたが、ちらりと見えた顔は覇気がなく、体つきはガリガリに痩せているようだったのだ。




「まぁ、いいか」




 走り去り、見えなくなってしまった人を追いかけようと思わず、パクスは先を急いだ。




 ………




 「ここか…」




王城の前の門に到着し、門番の人に試験会場前に案内してもらった。




 ………




「はい。騎士団入団試験の受付はここです。試験を受ける人はこちらにお集まり下さい。」




 受付を済ませようと、受付係のところへと向かった。




「それでは名前と試験費用として銀貨1枚を頂戴します。」




 試験を受けるためには費用として銀貨1枚を払う必要があるようだ。




 …




「はい。これで受付完了です。試験は明日、水の刻ちょうどに開始しますので遅れず会場に集まるようお願いします。」




 この世界の時間を表す言葉はそれぞれ火の刻、水の刻、風の刻、土の刻と表され、六時間ごとに変わるそうだ。




 試験開始は、水の刻…つまり昼、正午だということだ。時間軸については、老人との暮らしの際に勉強していたのでバッチリだ。




「分かりました。ありがとうございます」




 受付を終え、明日に備え今日泊まる宿を確保しようと宿屋へと、向かった。




 ………




「ふぅ…」




 宿を確保し、ベッドに座り、パクスは一息ついていた。




「明日は水の刻…正午に訓練場か…」




 明日の試験について、そして今日起こった出来事について回想していた。




「試験が終わったら、金も手に入れなきゃな」




 実は、王都へと向かう途中、魔物を倒し素材をて入れていたので、お金のほうに換金しようと思っていたのだ。




「【力】についても上手く扱えてる。大丈夫。何とかなる!」




 自分の【力】について自信をつけ、自分を鼓舞していた。




「もう、遅いし寝るか。…明日も頑張るぞ!」




 明日に備え寝ようと横になった。




「そういや、あの人大丈夫かな…」




 路地裏で会った女性のことを考え、しだいに睡魔が襲い、パクスは眠りについた。


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