第5話 老人との暮らし

 ………




 老人と一緒に過ごして半年が経過した。




 俺は、この半年の間この世界について爺さんの家にある本を片っ端から読み漁っていた。


爺さんとの話のとき、「この世界について、生活していくなかで知っていく」と言ったが、本があるなら読まずにはいられないよ。


暇な時間がある時は家に引き込もってひたすら本を読んでいた。


まぁ、もとから本は好きなほうだし、元の世界でも本はよく読んでいたな。


それに比べれば、この世界の本の内容は興味をそそられるものばかりだ。


夢や妄想の話じゃなくて、ガチの現実話。


これにより、ある程度の知識は身に付いた……と、思う。


それと、ただ俺が本を漁っていたと思うか?


ちゃんと爺さんの手伝いだってしたさ…まぁ、それはおいといて、本命はこっちの【力】についてだ。


半年間の修行の末、俺は【力】を何とか自分のものにできたのだ!


だが、完璧に自分のものにしたとはまだいえないが操ったりでき非常に便利だった。


え?「修行は何をしたのか」って、そんなの簡単なことだな。


爺さんの家にある剣の使い方を学んだり、走り込み、自重トレーニングなどの基礎的なことだな。


一番驚いたのは爺さんが師匠となってくれたことだな!


実は爺さんに話を聞いたところ、爺さんは国の中でも指折りの強者だったらしい…今はどうか知らないが…。


だがしかし、そんな爺さんに修行をつけてもらいだいぶ動けるようになった。


元々あんまり動けるとは言えなかったが、今ではめちゃくちゃ動ける。体が軽い。


悪い、話が脱線したな、本命は【力】についてだ。


修行の中、日々の日課としてのトレーニングをこなしたらあとは、【力】の使い方の修行をした。


初めて発動した時のことを思い出してやってみたら意外とはやくでてきた。


でてきたのは赤色と青色が混ざった光のようなものだった。


また、【力】を発動させると、それに呼応し瞳の色が変わり、右目が赤、左目が青に変わることがわかった。


あとは、【力】を発動させる感覚を体に染み込ませ、自由に操ることを目標にして練習した。


自分のものにするまで、だいたい1ヶ月ぐらいかかった。


だが、たった1ヶ月で自分のものにできたのは上々だろう。


自分のものにできてからは、どのようなことが、できるのかいろいろためしてみた。


【力】は思ったより自由にでき、糸にして対象を巻き付けたり、物体にくっつけて移動したり引き付けたりできた。ス●イダーマンみたいだな…


他には、一点に集中させ、ためて放つ…気功弾みたいな感じにもできた。


少し視野を変えてみて、自分の身体中に【力】を循環させてみた。すると、身体能力が大幅に増加した。いわゆるパワーアップだな。だが、これはこれでとても便利ですごい発見だと思った。



ある程度【力】について、知ることができたら爺さんが直々に相手になってくれて模擬戦をしてみた。剣や【力】を使って本気で殺す気になって戦った。でも、爺さんが桁違いに強くて一撃も与えることができずにいた。


模擬戦の最中、動きが悪い所があると爺さんは的確に指摘してくれて自分がみるみる強くなっていったと感じた。


動きが良くなり、剣もだいぶ使えるようになったら爺さんが「ふぉ、あとは実践あるのみじゃ」と言って魔物を相手に実戦をした。生き物を殺すという感覚、実際の動きをしっかり体感する必要があったからだ。魔物を目の前にするとこの世界に来た時のことを思い出し、最初は足がすくんだ。


だが、数ヶ月の修行の末立ち上がるには問題なかった。


【力】を発動、身体中に循環、魔物の背後に回り込み、剣をふるう。


たったそれだけで魔物の首が飛び、その場に倒れた。


だが、重要なのはその後だ。生き物を殺した感触、それが直に伝わってきたが、スランプになることはなかった。別に魔物相手にはどうってことなかったみたいだ。少しつらいときは、生きるためと思いながらすれば、体が動いた。防衛本能かな…【力】は体の五感を敏感にしてくれて、周囲がよく見れた。


【力】を使っていくと分かるが、非常に便利だ。


この半年の修行は無駄じゃなかった。それが改めて実感できた。




 ………そんなある日、俺はいつもと同じように日課のトレーニングを終えて家に帰ると…




 家の中で爺さんが倒れていた…


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