第4話 常識

 老人と一緒に住むことになったが、パクスはこの世界にきてから、誰でも疑問に思うことを、聞いた。




「なぁ、爺さん。ここは、どこなんだ?」




「ここか?ここは、アウロラ王国の領土の一部じゃ。だが、この森には魔物が多くてのぉ。あまり人は近づいて来ん」




「他に人がいないのに何で爺さんだけいるんだよ…」




「さっきも言ったが魔法でどうにかできる。だから、心配いらん」




 老人が言うにはここの領土はアウロラ王国の一部である。




「なあ、爺さん」




「何じゃ、パクスよ」




「実は俺、この世界について疎くて常識とか全然知らないんだ。だから、いろいろ教えて欲しい」




 異世界で生きていくためには、まずこの世界の常識などいろいろ最低限の知識は知る必要があった。世界が違えば、国も違う、国も違えば、貨幣も違う。だから、この世界で生きていくため、老人から聞く必要があった。




「そうじゃな…」




 老人は自分の顎髭をなで、考える姿勢をとった。




「まずは、この世界について教えよう。この世界は、人間界、魔界、暗黒界、天界にそれぞれ分かれておる。」




「へぇ~~…うん?待てよ、人間界と天界はそれぞれ理解できるが、魔界と暗黒界は何が違うんだ」




「まあ、待て。まず人間界は文字通り、儂ら人間が住むところじゃ。そして天界は天使や女神様が住んでおられる。」




 (女神か…いつか会ってみたいな)




「ふ~ん、まあやっぱり想像していたのと同じだな。」




「そして、魔界と暗黒界の違いじゃが、魔界は魔族が住んでいる」




「じゃあ、暗黒界は?まさか、暗黒人が住んでいる~とか言わないよな?」




「ふぉふぉふぉ、そんな文字通りではない。暗黒界には魔人が住んでいる」




「魔族と魔人は何が違うんだ?あんま変わらんだろ」




「いや、それが魔人は魔族より凶暴でな、単純な力なら魔人のほうが上じゃ」




「なら、魔人が魔族を根絶やしにしたりならなかったのか?」




 単純な膂力では魔人の方が上、そんなことから考えられるのは魔人による魔族への一方的な虐殺だ。




「確かに、その通りじゃ。じゃが魔人は力はあっても知能が低くてのぉ~。魔族によって作られた罠により戦力はまぁ、五分五分なのだ」




 (ということは、魔人は脳筋だらけと…)




「それにより、多大な犠牲を出した末、暗黒界と魔界に分割された…。これが、歴史的に有名な"魔同戦争"じゃ」




 魔同戦争とは今から何年も前に起きた戦争らしい。異世界でも戦争というのは失くならないものだな…




「へぇ、まぁ、大体分かった。なら、通貨について教えてくれ」




 パクスが次に聞いたのはもっとも気になっている、貨幣についてだった。




 (やっぱり、金は大切だからね~)




「貨幣についてか?貨幣は銅貨、銀貨、金貨、白金に分けられておる。銅貨100枚で銀貨、銀貨100枚で金貨、金貨100枚で白金じゃ」




 (まあ、当然だが通貨が同じなわけないよな…)




「他に、何か聞きたいことはあるかの」




 他にもいろいろ知りたいことはある。でも、ここで何もかも聞くのは何か違う。最低限のことさえ聞ければそれでいい。




 あとは、これから過ごしていくついでに知れればいい。魔法や剣の扱い、国のこと、魔物の知識、異世界の人々等々…老人と一緒に過ごすなかで知れればいい。




「いや、今の時点ではこれくらいでいい。残りは生活していくなかで知っていくさ。これからよろしくな、爺さん」




「ふぉ、こちらこそよろしく頼むぞ」




 自分の不思議な"力"についても、実験とかいろいろしていこう。




そして、機会があれば異世界に転移された(この世界に来た地点に召喚者や魔方陣がないことから転移と考える)経緯を知りたいね


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