第6話 粉ぶるい
ケーキを作りました。小麦粉をふるって、卵やらバターやらを混ぜて、というものですが、私が考えていたのは粉をふるっている時のことです。
ふるいの中の粉が減ってくると、大きな粉玉が出てきます。指で押しつぶして無理矢理細かくするのですが、ふと私はどこかで読んだ話を思い出しました。
自然淘汰、という話題だったのですが、今の私はその話に大きく影響されていると言っても過言ではありません。
生物は時に、災害というふるいにかけられる、と言うのです。そして、―落ちた方が残ると言っていいのか粉玉となって落ちなかった方が残ったと言っていいのか確かではありませんが―それに耐えて残った者がその先生きることを許され、そうやって強い生命だけが地球を満たす、とも言っていました。
弱い者、こう並べるのは良いことではないかもしれませんが、年寄り、弱く産まれた子、弱いながらも生きながらえていた者、有り金が少ない者、なんかは流行病やら災害やらで死に、そうでない者が繁栄していく、ということです。
自然淘汰は悪いことではないのかもしれません。
資源を消費するだけの生命は地球に負担をかけるだけだという残酷な考え故の災害なのでしょうか、しかしそれは人類の繁栄に繋がっているのかもしれません。
強い子孫を残すため、と間引くように。
人類も、世界と同じことをしているようにも思えます。
色や形が悪い野菜は早めに摘み取り、他の実を大きくする。賢い人は更に良い教育を受けられる。
自分が神様にでもなったと思っているのでしょうか。
世界が思い通りにならないから、自分の手の中の粘土を好きにこねくり回すということなのでしょう。まるで子供だなと思います。
持っていた粘土が、自分の手の大きさを超えようとしている、そう分かった時「ああ怖い、どうしよう」と戸惑うだけなのもまさしく子供のようだと思います。
私達は、手に負えなくなりそうなものを自分で作っておいて道端に放り捨てようとしているのです。
と、残りわずかな休日にそんな連想ゲームを楽しむのでした。
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