高校1年生 9月2日

僕は、学校での友情・愛情なんてフェイクだと思っていた。どんなに教室で一緒に騒いでいても、どんなに笑顔を互いに見せたとしても、それは、仮面でしかない事を僕は知っている。ほんとバッカみたい。


「次の土曜さ、ケダモノの山に行ってみない……いや、行こうよ! 朝の九時集合ね」

 僕が通っている高校の裏にある裏山はケダモノの山、と呼ばれていた。

 その山は、名前通りケダモノが出現すると言われていた。何の動物が出現するのかは分からないが、危険なので絶対に立ち入らないでください、と先生が一ヶ月おきに一回言うぐらいなのだから、危険なケダモノが住み着いているには違いない。

 ただ、僕のアホ友達、にいさは、そこへ行こう、と言い出した。

 そう告げられた僕と、まさきは全力で断った。なぜかと言うと、裏山が危険だから、というのもあったが、にいさがそう告げた日がケダモノの山に行く予定日の前日の放課後だったからだ。

 つまり、にいさが言っていた次の土曜日というのは、明日のことだ。

 

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