初めて湧いた情
春本 快楓
プロローグ(中学1年生 9月9日)
体育祭の閉会式が終わり、僕は友達を探していた。この後、打ち上げをしようと提案するつもりだった。僕は、体育祭自体よりも、打ち上げの方が楽しみなまでであったのだ。
自分のクラスの教室の扉の前へ辿り着くまでは。
今日の打ち上げ、どこ行く? 焼肉? 寿司?
焼肉でよくね。せいやは寿司が良いって絶対言うだろうけど。あいつ変に逆張り好きだからな。
せいやは誘わないでいいよ。あいつのノリ、よく分からないんだよ。
たしかに。なんか、一人だけ調子がおかしいよね。
疲れを癒す打ち上げなのに、疲れる奴呼んでどうするんだよ。
僕はこの時、教室に足を踏み入れる訳でもなく、その場から去ることもせず、ただひたすら、拳を握りしめながら突っ立っていた。
あいつらが教室を出て、僕を見た時の表情は今でも忘れられない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます