第5話 失われた記憶

そして、ついに待った久しぶりの登校日。しかし、ホームルームが始まっても来ている生徒は10人に満たなかった。でもまあ、中村が来ていたので話し相手には困らないだろう。そんな中始まった一限の初め、窓からある2人の少女が飛び込んできた。学校は警察だけではなく軍までが警備にあたっているというのに。


少女らの一人は入ってくるやいなや、いきなり近づいてきて、手をこちらに向けた。そして、距離をとろうとしたが、気付くと僕の体は糸のようなもので拘束されていた。そして、いつの間にかもう一人の少女の隣にはゲートのようなものがあった。射程距離がある接近型の能力を活かして、相手を拘束させて、もう一人はゲートを作ってスムーズに移動ができるようにする。素晴らしい連携である。


僕は彼女らに声をかける間もなく、ゲートの中に連れていかれてしまった。しかし、そこに悪意があるようには思えなかったので、抵抗しなかった。


「あの世界は頼みましたよ。」


その言葉を聞いた瞬間、僕の意識はなくなった。


ーーー


世界というのは脆い。だから必ずどこかで崩れてしまう。どんなに優れた者たちが創り上げた世界も、いつかは些細なきっかけで崩れてしまう。だったら、最初から世界なんて創らなければいいのに。そう思うのは僕だけだろうか。


ーーー


目が覚めると、そこには別の少女がいた。自分の身体を見ると、<本来の姿>になっていて、元の姿に戻ろうとしても戻れない。

そんな私の姿を見て、少女はこう言った。


「おかえりなさい、」と。

そして、私の右手を両手で握ると、彼女と私の手から緑色の光が放たれた。


「え、ちょ、ちょっと...」

少女は困惑する私にお構いなしに、それを続ける。

そして、私の頭の中にある何かが解放された感じがした。すべて思い出した。私が誰なのか。この少女は誰なのか。ここがどこなのかも。

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