第3話 教室に響く戦争
「そんな退屈な日々に転機が訪れたのは、2日後だった。いつものように休み時間に一人でうとうとしていたときのことだ。担任が急いで教室に入り、教室の外に出ないようにと、生徒たちに静かに待機するように指示した。
うちの学校は進学校のため、自由度が高い。休み時間に担任が注意しに来るなんて、今までなかったことだ。だからこそ、クラスは緊張に包まれていた。誰も話そうとしなかった。そんな状態で十分ほど待たされた後、軍服を着た人たちが五人ほど教室に入ってきた。
いや、なんでこんなところに軍人が?!
しかも彼らは恐ろしい武器を持っていた。銃という武器だ。
僕たちは慌て始めた。クラスはざわつき始め、担任に説明を求める人もいた。
しかし、軍隊のトップらしき人が教卓の前に堂々と立つと、クラスは再び静かになり、緊張感が漂った。
彼は部下と思われる人たちに何かを指示した。日本語でも英語でもない、聞いたことのない言語を使っていたので、何を指示したのか全くわからなかった。
部下たちはスマホのようなものを近くの生徒の頭に近づけ、数秒後に隣の生徒のところへ移動した。僕もやられたが、特に何も引っかからなかった。
結局、誰も引っかからず、彼とその部下たちは去っていった。一体何だったのかわからないが、僕たちは安心することができた。
しかし、彼らが隣の教室に行ってから数分後、大きな音が響いた。それは一回だけでなく、何度も繰り返された。鳴り響く銃声と悲鳴。それらはまるで戦争のようだった。勢いが強すぎて、こちらの教室にも衝撃が伝わってきた。
10分、いや20分ほど経っただろうか、隣の教室は静まり返っていた。僕たちは外に避難させられたが、後で聞いた話によると、軍も含めてその教室にいた人たちは全員が死亡していたらしい。ただし、1人の少女の遺体だけが行方不明だった。軍は全員死亡しているので、連れ去ったわけではないだろう。運良く休んでいたと考えるのが妥当だろう。
事件後、学校は休校になったが、全国の高校で殺人事件が次々と発生し始めた。軍や警察、政府が対処しようとしても、事件は止まる気配を見せなかった。それは毎日テレビで被害を受けた学校の報道を見れば一目瞭然だった。
そんな地獄のような毎日のある日、ニュース番組で「最強VS殺人鬼 連続殺人事件を止めることはできるのか」というタイトルのニュースが流れた。軍の精鋭でも集めて戦うのだろうか。いや、あの強さは人外だ。どんなに強くても、どんな武器を使っても勝利は難しいだろう。
ニュースを見ながら、政府が何をしようとしているのかが徐々にわかってきた。まず、「最強」についてだが、軍人よりも強い存在であることしかわからなかった。政府が詳細を公表できないのは当然だろう。そして、政府はその「最強」を雇って殺人鬼と戦わせるつもりらしい。警察は殺人鬼の居場所を把握しているのかもしれないが、実施日や場所についてはわからなかった。
なんだろう。いやな予感がする。でも、正直言って、僕には何もできないだろう。場所も時間もわからないから。
そんなことを考えながら、家の近くの公園を散歩する。学校のプールに行くのと同じで、一人で考える時間を楽しむためだ。ベンチに座り、真っ青な空を見上げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます