第34話 事件の顛末

「失礼とは思ったのだが、あなたの経歴等はこちらで調査させてもらった」

 俺はやらかした自覚があるので、こちらの身分などを丁寧に説明していく。

 彼女の初めてを俺が奪ったのにもかかわらず俺たちのことを恨んでいる節もない。

 それどころか感謝すらしているようだ。


 俺たちのことについて説明をした後に、唯一の身内である妹さんに無事を伝えさせた。

 携帯での連絡で簡単に済んだようだが、妹さんの方でも厄介事を抱えていそうな様子だとか。

 心配そうにしていたので、こちらで調べるように俺はマリーさんに頼んだ。

 乗り掛かった舟だ。

 この後カレンさんに俺は一つの提案を出した。

 秘密という訳でもないのだが、それでも俺たちの特殊な環境を教えた以上野放しにもできない。

 アプリコットさんからの意見なのだが、野放しができない以上取り込んでしまえということになって、葵さんもあかねさんも同様な意見でカレンさんを愛人として迎えることを申し出た。

 流石にいきなり抱いた女性だ。

 面識もない状態で処女を俺に奪われたのだから、簡単に了解は得られないだろうと思っていたらカレンさんは二つ返事で了解してくれた。

 それどころか大変感謝すらしているのだ。

 もうこれはあれだな。

 ストックホルム症候群とか言ったやつか。

 でも、この際気にしない。

 後で薬の経験のあるマリーさんから聞いた話だが、ストックホルム症候群は十分に考えられるでしょうが、それ以上にあの薬で快楽をこれでもかというくらいに俺が与えたのが原因だとか。

 もう俺から離れられないでしょうとすら言っていた。

 俺の置かれている環境は普通の女性ならば絶対に受け入れられないはずだ。

 何せハーレム野郎なのだから。

 それも二組の母娘丼を抱える変態とすら罵られても言い訳のできない状況だ。

 そんな状況を包み隠さずに説明してあったのだが、迷うことなく愛人になることを決心してくれた。

「彼女は肉奴隷に成れって言ってもなってくれたでしょうね」

「そんな感じですね。

 でも、心が壊れていないか少し心配になりますね」

 俺の周りでは偉く物騒な会話が聞こえる。

 明日病院でそのあたりについても調べてもらおう。


 結局その日の夜は心配をかけた葵さんとあかねさん、それにカレンさんを交えて4Pで過ごした。

 完全にカレンさんはあの時の逢瀬に味をしめたようだ。

 社会人になるまで経験のなかった女性に俺はとんでもないことを仕込んでしまったようだ。

 朝起きると、昨夜相手をされなかったとして幸と由美がベッドに飛び込んできた。

 昨夜相手をした三人の女性はとっくに身支度を終えて別の部屋に行っている。

 結局俺は起きざまに二人を相手に朝から一勝負だ。

 自分の性欲の凄さに驚いたのだが、それ以上に疲れた。


 その日はカレンさんを病院に連れていくことになっていたのだが、病院にはあかねさんとマリーさんがついてくれるというので、俺は自宅でお休み。


 昼過ぎにアプリコットさんが資料を抱えて俺の下にやってきた。

 カレンさんのことだ。

 彼女は東京都の教員として採用されたのだが着任前にあの病気で隔離されていたこともあり長期療養扱いになっていた。

 連絡が無くなってから優に二月以上あったはずなのだが、関係者があまりにおおらかなのか、そのままの扱いになっているらしい。

 その件で俺にどうするかを俺に聞いてきたのだ。


「どうすると聞かれてもね~。

 どうしようって、が決めることじゃないよね」

「ですが私たちにはどうとでもできる伝手がありますが」

「それなら猶更だ。

 まずカレンさんに聞いてからだな。

 そのまま教員になる希望があるのなら手を頼ろう。

 しかし……伝手って都知事のことかな」

「まずは都知事になりますが、此度の件で政府に貸しが出来ましたので必要ならば総理も使えそうです」

「え?

 そうなの。

 どういうこと?」

「此度の犯人ですが政府与党の幹事長のご子息が主犯でした。

 それに監禁されていたのはその幹事長名義の別荘でした」

 なんかとんでもないことに巻き込まれていたようだ。

 今わかっている範囲でもなりヤバイ。

 幹事長の息子というのがあの辺りでは相当の悪で有名になっているらしい。

 大学の三年生で東京の大学に通ってはいるらしいのだが、悪さは親父のコネが効く地元だけでしているらしく、あの辺りでは公にはなってはいないが相当数の女子の乱暴が彼によってされていたとか。

 警察も党幹事長のご子息ということもあり、また被害女性からの届も無いことから手出しはできなかったようだ。

 今回辛うじてマスコミを抑えることはできたのだが、あまりに俺たちが大ごとにしたためにごまかしはできなかったとか。

 とにもかくにも第一発見者が大手の警備保障会社であったことに加えて、救急車を呼んだことから警察以外にも関係者が出たことで抑えが利かなかったらしい。

 最後に止めを刺されたがあのぐったりとした被害女性たちが運ばれた病院が選挙区が異なる隣県の総合病院で、しかもその病院のある選挙区が対立する野党の強い地盤だと言うのだ。

 政権与党の幹事長の神通力が効かない病院とあっては薬が使用された乱暴事件としてすぐに警察に通報されたという話だという。


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