CB-1
@kakikomi00000987766
第1話
「加奈美、何をぼんやり立ってるの?」
友達の
「なんでもないわ。ただ...少し疲れてるだけ。」
由紀は心配そうな眼差しで加奈美を見つめた。「あなた、最近どうしてこんなに悲しそうに見えるの?何かあったの?」
加奈美は答える代わりに肩をすくめた。どう説明すればいいのか分からなかった。彼女の人生には特別な問題はなかった。ただ...あまりにも平凡すぎたのだ。
学校で彼女は目立たない生徒だった。成績は中間で、特出した才能もなかった。唯一自慢できるのは容姿だけだったが、それさえも加奈美には意味のないように感じられた。
「みなさん、こんにちは!
街頭の大型スクリーンから流れる声に、加奈美と由紀は顔を上げた。画面の中の春樹は明るい笑顔でファンに向かって手を振っていた。
由紀は興奮した声で言った。「わぁ、春樹さん本当にかっこいい!あの年でこんなに成功するなんて、すごいよね。」
加奈美は思わず頷いた。春樹は25歳にして既に日本で最も人気のあるアイドルの一人だった。彼の人生は間違いなく刺激的で意味のあるものだろう。
「私もあんな風に生きられたらいいのに...」加奈美は呟いた。
「何て言ったの?」由紀が尋ねた。
「ううん、なんでもない...」加奈美は首を振った。
二人はしばらく沈黙のまま歩いた。突然、由紀が立ち止まった。
「あそこ見て、加奈美!」
加奈美は由紀が指さす方向を見た。そこには奇妙な広告板が立っていた。
「あなたの人生に退屈を感じていますか?新しい経験を求めていますか?CBプロジェクトがあなたの夢を叶えます!」
広告の下には小さな文字で「CHANGING BODY」と書かれていた。
「これ、何?」加奈美は不思議そうに言った。
由紀は肩をすくめた。「分かんない。なんか怪しいよね?」
しかし加奈美の心の中では、奇妙な高揚感が湧き上がっていた。彼女は広告に記載されたQRコードをスキャンした。
「加奈美、何してるの?」由紀は驚いた声で尋ねた。
「ただ...興味があっただけ。」加奈美は答えた。
スマートフォンの画面にウェブサイトが開いた。そこにはより詳しい説明があった。
「CBプロジェクトはあなたに新しい人生を贈ります。他人の体で生きる機会、今すぐ申し込んでください!」
加奈美の指が震えた。これは狂気の沙汰だろうか?しかし彼女の胸は高鳴っていた。久しぶりに感じる興奮だった。
「加奈美、まさかあなた...」由紀が心配そうに言った。
加奈美は深く息を吸い込んだ。そして申し込みボタンを押した。
「ごめんなさい、由紀ちゃん。私...これをやってみないと。」
その瞬間、加奈美は自分の平凡な日常が終わりつつあることを直感した。彼女は知らなかった。この決断が彼女の人生を、そして多くの人々の人生をどのように揺るがすことになるのかを。
CB-1 @kakikomi00000987766
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