第19話 合格者 不合格者
「佐斗葉! 佐斗葉!!」
揺さぶられながらぼくは目を開ける。
「恵里菜····?」
「良かったぁ····佐斗葉······!!」
ぼくは恵里菜に抱きしめられる。柔らかい感触と、温かい匂い、そして恵里菜の眼から流れるひと筋の涙がぼくの頬を伝う。
「おめでとうございます。立伏佐斗葉 様。あなたは見事合格です。」
声のする方を向くと、柚月さんが優しい笑顔でぼく達の前へと近寄ってきた。
「この回廊での試験は、人間が抱える心の葛藤、
「でもそれって、心に傷を負っていない人は、【異能】を開花させることは出来ないってことですか?」
「厳密に言えば違います。例えば過去を持たない産まれたての赤ちゃんなんかは異能は習得出来ませんが、例え心に傷のない人でも、何かしらのストレスになった経験はあるはずです。ですが、そういった方は上手く心の
「放ったらかしにした傷····」
ぼくは胸に手を当てた。今まで抱え込んでいたもの、見ないふりをして通り過ぎてきたもの、今なら、その全てを受け入れられる気がする。
まだ寝てる3人も多分いずれ目を覚ます。このまま全員が【異能】を獲得出来──────
パンッ!!!!!!!!
突如上から大きな柏手のような音が聞こえ、ぼくらは上を見上げる。
見るとそこにはアリーナ空間のような場に立つ
「これにて制限時間終了です。現在意識のある方たちは合格です。おめでとうございます。そして、目を覚まさなかった以下の3名は不合格です」
祐葉、雪姉ぇ、澁鬼くん。
3人はそれからしばらくして柚月さんが再び紋章を光らせた事で、ようやく目を覚ましたのだった。
合格者
──佐斗葉、恵里菜──
不合格者
──祐葉、雪嶺、澁鬼──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます