第2話 修平に相談 

翌日、親友の修平に会うと、昨夜の出来事を話した。

稲留修平は四七歳 泉春樹は三九歳 修平の方が八歳も年上だが、春樹は

[修平さん]とさん付けにした事が無い、互いに、[修平][春樹]と呼び合っている。

春樹が修平に相談した。

「昨夜、0時過ぎにいつものように錦を流していたら、シャインシグマの通り、

伝馬町通りだっけ、そこから出てきたママさん風の女性を乗せたんだけど、

それがさぁ、勝川駅って言われて、行ったら、

駅の南側の公園に着けろって言われてさ、料金5200円ですって言ったら

[運転手さん、ちょっと、助手席に移っていい]って言いながら、

自分でドアを開けて助手席に移って来たんだ。助手席で精算するのかなって

思ったら、いきなり、いきなりだよ、キスしてきたんだ。びっくりして、

何するんですかって言ったら、ジッと俺の目を見て、すご~く色気のある声で

「いや?」って云うんだよ。あんな色気のある顔で「いや?」って言われたら

「いやじゃないですけど!」って、普通 云うだろ。

ほんで、キスしていいんだと思って、とっさに

[本当にいいんですか、ありがとうございます]って、言ったら、

それがおかしいって大笑いされちゃって」


「そりゃ変だろ、一番いいところで、ありがとうございます、は無いよな、

それで、どうした、キスをしたんだ」修平は興味津々で聞いた。

「いや、なんか、調子がずれちゃって、それに、あ、その人、

あかねさんて云うんだけど、最初にキスしてきたって言っても、

唇と唇が合わさっただけだし」


「なに、じゃ、それで終わったのか」

「ちゃんと聞いてよ、そしたら、今度、あかねさんが俺の右手を掴んで

自分の胸におしあてたんだ、んなもんで、俺もその気になって、おっぱいを

触ってたら、そしたら、そしたらだよ・・ あかねさんが自分で着ていた

ブラウスのホックを外して直接、おっぱいをもめって言うんだ。


「えぇ、本当にもめって言ったのか」

修平は春樹の顔に(嘘つくなよ)と言わんばかりに顔を近づけてきた。

「もめって言ったかどうか、覚えてないけど、でも、おっぱいを出すって

事はそういう事だろ。

 そのうち、[きもちいい]ってあえぎ声を出してさ、俺のあそこに手を

当ててくるんだ。もう、ピンピン、あかねさんは〔あら、ボッキボッキね〕

って言いながら、俺のズボンのチャックを下ろそうとした時、本当に

もう少しだったのに、急にあかねさんのスマホからビビビビビって音がなってさ、

そしたら、

[ハイ、タイムオバー お し ま い] だって、

十五分一万円だけど四千二百円にまけておくって言って、

サッサと車から降りて行ったんだ、

帰る時、[よかったらお店に来て]と、言って名刺置いていったけど、

これってどういう事?」


 春樹は、にやけて話していたかと思うと急に不安そうに修平に尋ねた。


「つまり、そのあかねさんは四千二百円を体で払ったって事か・・

 本当にしたいんだったら十五分もクソもないよな、

しかし、すごい、そんな女、いるか。十三年タクシーやっているけど、

一度もあったことがない」

修平はありえんと云う顔をした。

「俺だって、修平より長くタクシーをやってるけど、こんなのは初めてだよ。

それで、名刺をくれたって事は、お店に行かないとばらすって事かな」

「なにを?」

「だって、会社に電話されて、強姦されたとか、暴行されたとか、

チクられたら、大変な事になる。正当防衛って成り立つかな」

「何が正当防衛だよ、キスをしてきたのは向こうだとしても・・・

車内カメラがあるからそれを見れば一目瞭然だろ! 」

修平はその撮影シーンを見てみたいと思った。

「えぇっ、そんなの見られたくないよ。会社には内緒だからね」


「わかってるって!それにしても、俺もそのあかねさんとやらに

会ってみたいな、今度、行ってみようか」

「えぇえ、行ってもいいけど、おれ、お酒飲めないし、修平もしっているだろ、

体がうけつけないのは・・・」

「じゃ、行って、コーラでも飲んでたら・・・チクられたら困るんだろ」 修平は修平は強引にでも春樹を連れて、

その茜というスナックに行ってみたいと思ったのだ。


「じゃ、今度の休み、来週の月曜日 行ってみようか、


十五分、一万円っていうのも気になるし、本当にスナックなの、

隠れヘルスだったり、もしかしたら、おっぱいパブかも」

春樹は修平に相談して良かったと思った。

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