第2話 赤い智

 少年は歩く。どこまでも歩く。

 先は見えない。見たくも無い。


 歩き疲れて少年は、砂をかき集める。

 そして全身全霊を掛け、砂に力を送る。


 砂は空中に浮かび、水に変わる。


 だがその水は、再び砂に落ち、砂を濡らす。


 少年は濡れた砂を再びかき集め、背中から取り出した大鍋に入れる。

 そしてまた砂をかき集め、力を送り、今度は水を大量に出す。


 少年の額には汗が大量に浮かび、少年は脱力感に見舞わされるが、気合で乗り切る。


「ふう…」


 水と砂が混ざりあった大鍋。それを茎を切り落として平らにした仙人掌の上に乗せる。

 そして切り落とした部分の仙人掌を鍋に入れ、最後の大仕事。


 カバンから得体のしれない木材の欠片を取り出し、それに口づけて鍋に入れる。

 すると鍋の中身は一瞬で溶け、透明な液に変わる。


 それを背中から出した水筒に入れて一口飲み、また少年は歩き出す。


 少年の前には、まだ砂の世界が続いていた。

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