遠くなった花束
悲しく苛立っている。
螺旋おりきって、とびおりたとてよかった。
こう葦ノ考え、くやしくなった。
肉や骨の入れれない代わり嫌な心だけ詰め込んでいた。
金網なぞ通り抜け、とにかく自力なんとかしようと思う。
「なんとかってなにをだろう」
数歩で行き詰りちょっと後ろみれば、舗装路のさき立ち入り禁止。
答えるものなくなかばまえのむこうとして、金網とびこえる影。
幽冷亭であった。
葦ノみつければ駆けてくる。
「言うだけ言って帰るんじゃない」
暗いの取り繕い、笑ってみる。
「どうかしたの?」
「幽霊たらいきなり現れたり消えたりなんでな」
「さいご会っておこうって?」
「成仏のあてあんのか?」
「さっぱり」
「諦めないんだな」
「いまのところ」
手伝ってくれると覗き込んだ表情なら、左右不均衡に歪むまずいものだった。
「いいや。お前のせいで呪われた気分だよ」
「ごめんなさい」
小さくまとまった謝辞で、相手どうやらむしろ困っている。
「詫びのいいからもうついてくるな。念押しだ」
「そうだね」
「あぁ、じゃあな」
これっきりだ。言い捨てて幽冷亭、葦ノのとなり通り抜けて去った。
残った立ち入り禁止だけ、じっと葦ノこと眺めていた。
「これからどうしようかな」
疲れた気持ちで、空まだ青い。
「さては私やる気ないなぁ」
独り言から思わず図星つかれた。
去っていた人の道みかえって、もう何もかも無くなっていた。
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