第9話あ《あ》

ある作業員さぎょういんたちが何ヶ月なんかげつもかけてつくげたモノがあった。それは緻密ちみつこわれやすく、衝撃しょうげきくわえるとたくさんの人達ひとたち死傷ししょうするかもしれないモノである。


リーダーは何度なんどもボタンが作動さどうするか確認かくにんし、最終的さいしゅうてきれいのモノと接続せつぞくした。


「やっっと完成かんせいしたー!」

作業員さぎょういんたちがホッとした様子ようすゆかこしろした。

「いいか、このボタンは絶対ぜったいしてはいけない。明日あすれい時刻じこくにあるひとすまでかならまもくんだ。」

かりました!」

リーダーの注意ちゅうい作業員さぎょういんたちが口々くちぐちこたえる。

しかし作業員さぎょういん1人ひとりすわりながら一言ひとこと

絶対ぜったいしてはいけないボタンってしたくなるよな。」

「おい、そんなことうなよ。したくなってくるだろう。」

もう1人ひとり作業員さぎょういん返事へんじをした。


リーダーはそんな作業員さぎょういんたちの会話かいわみみにして、警戒けいかいつよめる。

(絶対ぜったいさせてはいけない。ねんためボタンにはカバーがついているがそれだけでは不十分ふじゅうぶんだ。見張みはりもつけなければ。)


そこでボタンのまわりをかこむように見張みはりを数名すうめいずつ交替制こうたいせいでつけることにした。

ボタンをすまでのこ24時間にじゅうよじかんったとき、組織そしきのお偉方えらがた様子ようすにやってきた。

「どうだね、完成かんせいしたといたが。」

「ハイ、無事ぶじ完成かんせいいたしました。いまはこのボタンをすことがないように交替制こうたいせい見張みはりをつけています。」

「そうかそうか、その調子ちょうしたのむよ。」

偉方えらがた満足まんぞくしたようにうなずき、かえってった。

(こちらの苦労くろうらないで⋯。)

リーダーはボタンになおった。そのときおおきめの地震じしんきた。室内しつない停電ていでんし、れいのボタンも機能きのう停止ていしした。


地震じしんがおさまり、電気でんき復旧ふっきゅうし、リーダーはあせりながらボタンにった。作業員さぎょういんたちも固唾かたずをのんで見守みまもっている。


まずれいのモノとの接続せつぞく解除かいじょし、ボタン自体じたい作動さどうするかを確認かくにんした。作動さどうしたためふたたれいのモノと接続せつぞくした。そしてカバーをつけようとしたそのとき余震よしんきる。

ふらついたリーダーは身体からだささえるため無意識むいしきにボタンがあるだいにしがみついた。

「ピッ」

「「「「あ」」」」


そうしてくにのどこからでもえるとわれていた

制作費せいさくひ過去最高額かこさいこうがく豪華ごうか花火はなび

たまたまそらていた何名なんめいかに目撃もくげきされながらはかなった。



ひとこと

あーあ。

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