第7話アーケード《あーけーど》

アーケード…あめ日差ひざしをさえぎるための半円形はんえんけい屋根やねがついた通路つうろ意味いみ商店街しょうてんがいにあることがおおい。


あめってきた。」

はやくアーケードのあるところへこう。」

この世界せかいあめすこわっている。あめれるとなにかしらにこいをしてしまうのだ。あめなかへん成分せいぶんでもはいっているのだろうかと学者がくしゃたちが研究けんきゅうしてみたが原因げんいんは分からなかった。

皮膚ひふからあめ体内たいない吸収きゅうしゅうされ、一瞬いっしゅん目眩めまいがしたあと視界しかいはいってきたものを恋愛対象れんあいたいしょうとして認識にんしきしてしまう。だからおんなでもおとこでも建物たてものでもペットでも、なんならそこらへんにある文房具ぶんぼうぐなんかでも最初さいしょたものにこいをしてしまう。このあめ人々ひとびとこいするあめづけた。

それをけるためにこのほしではありとあらゆるところにアーケードが設置せっちされている。

「ふう、なんとか目眩めまいがするまえにアーケードにはいれたね。」

「ええ、よかったわ。」

2人ふたり学生がくせい安心あんしんしたようにアーケードのしたあるく。あめれてこいをしてしまうと、とたんにきついたりくちづけをしたくなってしまう。こいをすることになるのがイヤな人々ひとびとは、その対策たいさくとしてかさつくった。だがかぜつよなどかさ裏返うらがえって使つかものにならず、結局けっきょくこいをしてしまうことがあった。

それを悪用あくようしようとするひとあらわれた。こいするあめめ、香水こうすいのようにきなひとにふりかけくちづけをしてもらおうというかんがえだ。しかし、こいするあめはある程度ていどおおめにふりかけないと効果こうかがない。そのためふりかけているあいだにたくらみが相手あいてにバレてきらわれてしまうのだ。

こいするあめ1回いっかいれるごと1つひとつ対象たいしょうしかこいをしないため、あえて無機物むきぶつ視線しせんける人もいる。

こいするあめをなんとか活用かつようできないか、婚活こんかつ利用りようしようというはなしたがこれも失敗しっぱいだった。あめっているあつまってになるひと視線しせんければいというはなしだったが地獄絵図じごくえずだった。興味きょうみのないひとからもきつかれくちづけをされるのだ。そりゃあムリだろう。

こいするあめ効果こうか5分ごふんほど記憶きおくはある。盲目的もうもくてきこいをしている自身じしん姿すがたすこずかしい。

画期的かっきてき用途ようとおもかない状態じょうたいながつづいたが、ときてある使つかかた流行りゅうこうしだした。

「………」

「どうしたの?」

学生がくせい1人ひとりきゅうだまった。もう1人ひとりなにおうとしてやめて、それをかえしたがついにくちにする。

一緒いっしょあめにあたりませんか?」

「………!」

このほしのこの言葉ことば地球ちきゅうでいう「告白こくはく」にあたる。あめ限定げんてい告白こくはく

「はい。でも関係かんけいはゆっくりすすめていきたいから、恋の雨にあたるのはもうすこさきでいいかしら?」

「はい!」

2人ふたり学生がくせいこい成就じょうじゅにほほえみいながら、アーケードのしたあるいていった。


ひとこと

こいあめこい進展しんてんさせたいひとにはいかもしれないけど、らないよね。

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