第4話 世界は回れど話は進まず

「そのリモコンは俺にも使えるのか?」

「いえ、女神の設定に全知全能がありましたのでその力のメタファー出力表現です。」

「とりあえず山の様な設定は出来た。

コレを反映させた結果が見たい、再生してくれ」

彼女が再生を押したのだろう

エロ動画の続きが進む

「ん?こんな感じだったか?」

画調が変わったのか?雰囲気が変わる

「設定が固まったからかまともに見れる物になりましたね」

少しするとfinと物語が終わる

「ここで終わりか?呆気ないと言うか…」

「よく見て下さい」

テラが指摘するまで気づかなかったが

テレビデオがDvDコンポ付きに変化していた。

「なんじゃこりゃ?」

「情報量が増えたから進化したんですよ」

取り出し口からDISCが出て、それをテラが手に取るとDISCはケースに早変わりした。

「収納棚を出せませんか?」

テラの要望に答えて棚を一つ

ソフトが無くなったテレビは一昔前の黒地のバックに『妄想』が泳いでいた。

体感1分も立たない内に画面が変わり

小粋なリズムのBGMと共に

『バルモス王国の歴史(勇歴1年)』

のタイトルが流れ

淡々と冗長に街の様子が描かれる。

「とりあえずこれからどうすればいい?」

「この世界の管理は私がします。面白そうな変化はアレの様にDISCになって保管しておきましょう

見続ける必要はありません

最悪の事態が起きた場合は改変を願うかもしれませんが」

柔らかな口調の隣人

棘の立った彼女が私を残して成長してしまった様で寂しさも感じるが

恐らく取り繕って話をしているだけで内心は変化して無いのだろうと邪推もしていた。

「コレを続けて暇を潰すのが俺の役目なのか?」

「お好きな様になさいませ

悉く有りとあらゆる森羅万象を産み出すのは貴方様の想像力で御座います。

いつか貴方様を超える成長を迎える寵児も産まれる筈なのですから」

神々の側面を持つ彼女の台詞回しめいた話し方は遠回しに新作をせがんでいる様にも受け取れる

兎にも角にも筆を待ち考えてみる

しかし直ぐには思い浮かびはしない

神はここにおり紙はそこにある

綴る思いを選びつつ

新たな歴史を歩む世界の動向を聞きながら頭を捻る。

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