第2話 神様になろう

男の子の主人公が

女の子のお姫様を

悪い魔王を倒して

助け出し世界救済


雑にまとめてこんな感じ

「絵本の桃太郎だって内容ありますよ」

「その通りです。事実を伝えるのは楽しい?」

「才能を感じない親の事考えるとつらいです。」

彼等、彼女等の世界に少し設定を足していく

魔法がある

魔物がある

歴史は無い

スキルだなんだと技術体系のシステム化もしようと考えたが

陳腐になりそうでひとまず辞めた。

設定は出来上がり

「よく見た和製ファンタジーですね」

隣の美女は毒を吐く

「そうだ!この世界の教会の女神をお前にしよう」

「よくある十字の磔じゃ嫌なんですか?」

ここまでのある程度の会話で理解したが

どうやら彼女は私の選択肢以外の思考出力は出来るが

自分自身が衝動的に選択した答え等は理解が及ばないようだ

「それこそよくある女神信仰でお前が管理出来る様にするのさ」

「あぁ!なるほどですね

ところで私の名称は無いのですか?」

「最悪…創られた世界で変な名前とか属性つけられるかもしれないな、設定固めとくか」

「長い名前は後々面倒ですよ」

「じゃあテラで」

「脳直ですね」

何はともかく話は出来た

自分で見直しても駄文だと思う

原稿束を手放したらこんな妄想が出来上がってしまうと考えると破りたい衝動が湧いてくる。

「やりもしないでやれるとまだ思い込んでます?」

顔真っ赤になる程の怒りで原稿を机に叩きつける。

原稿は光子と散る

しまったと思うよりも先に変化は生じる

暗黒銀河の世界に扉が現れた。

「おめでとう御座います。成功ですね」

感情の抜け落ちたテラの反応は

内心大喜びと怒りに満たされた自分の反対を表しているのだろうか?

テラを睨みつけた後に緊張しながらも扉を開けば

白い部屋真ん中奥にテレビがあった。

ブラウン管の古びたテレビデオ

画面の下部にビデオカセットを入れる投入口がある。

「部屋は増えたが家具しか無いぞ」

「薄っぺらい世界の表現技法としては大分皮肉たっぷりですね

ダブルベッドと外国のビールでもあれば完璧だったのに」

リモコンは見当たらなかったのでスイッチを直接押して起動する。

『新しい物語』

小学生のレクリエーションで作った様なCGが始まりを告げる

嫌味ったらしい彼女が音を上げる前に二人がけのソファとポップコーンを呼び出す。

もちろん支払いは原稿用紙で

『主人公が立ち上がり

王に謁見し許可を貰い

旅の中で経験を育み

友を作り、敵を倒し

宿敵と運命的な時を過ごし

囚われの姫君を助けた。』

「クッソつまらない出来上がりで」

「まぁ初めてにしては良いんじゃないですか?」

この女は嘘は付かないのだろう

俺の中に自分の非才作品を褒めたい所があるんだろう

「あの二人盛り始めましたよ」

「あんなポルノ迄書いてない、どうゆう事だ?」

「書いてないからでは?恐らく作られた世界が勝手にムラムラし始めたんでしょうよ」

「はぁ?」

「貴方が書いた世界ですが書いてない妄想部分も幾つか見受けられました。

豪華絢爛な王様

周りの衛兵の装備や装飾品

蝋燭に紙、石造りの城砦

ありとあらゆる技術体系は描写不足の中に存在してました。

あの世界は貴方の妄想を実現した結果様々に進化しています。」

「それも俺の内在的意見なのか?着眼点が凄いな」

彼女の仮説は意外なものだった

自分には気づけなかった所だ

「お忘れですか?

私はあの世界の女神ですよ」

「ポップコーン抱えた女神?」

「私の頭の中、正確には箱の中の私は迷える人民の先導者なのですから

貴方様には分からない所も把握してあります」

「アヴァター(分体)的考えだと?」

「その通りです」

彼女はどこかからリモコンを取り出してロマンス中の二人の世界を停止した。

「今ならこんな事も出来ます」

「力が増したのか?」

「広義的ですね、概ねそんな感じです」

「コレからどうなるんだ?」

「歴史が紡がれていくでしょう

争い、寄り添い、反発して、成長して

苦労して成長して発展して」

「このZ級学芸会がまだ続くのか?

エンタメ性の皆無なポルノ込みで?」

「男と女がいて原始的生活の次レベル程度な世界は貴方の妄想を現実として砂時計を流し出しました。」

「どうすればいい?」

何を尋ねているのか?

責任感か?または責任逃れか? 

誰かの真似事ファンタジーが歩き始めた

「どう?

どうにでもできるでしょう

貴方様はあの世界の創造神ですよ

出来た世界をいい具合に添削為されば良いのです。

今なら私はより良いお手伝いが出来ますよ

創造神様」

彼女の声色から敵愾心が消え、艶っぽくなって感じた。

どうやらあの世界が干渉したのだろう

彼女は私で隣人で女神なのだ。

だが自分の認識を超え変化していく彼女を

テラを私は妬ましく思えた。

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