第2話

「へへへっ作戦は大成功ってところだなっ」

「ワタシ達二人が攻撃で気を引いている間に、強力な妖精魔法で一撃で倒す。上手くいって良かったですね」

「だね。悔しいけど、あたしらじゃあのデカブツにまともにダメージを与えることなんて到底できないからなぁ……アーシャ達が居て良かったぜ」


私の目の前で、妖精の二匹が笑顔で宙に浮かんでいる。戦闘での興奮がまだ残っているみたい。


「ありがとう。二人が時間を稼いでくれたから私の魔法を詠唱する時間を作れたんだよ。」

「だから魔法じゃなくて”妖精魔法”って言ってるでしょう?」


私の隣の女の子がまた頬を膨らませる。


「へへへーっホント人間があたしら妖精の魔法を使うなんて珍しいよな。今じゃ多少マシにはなったけど、あんたは世間知らずだし。ホント面白い人間だね」

「んなっ……! 流石にもう私は立派になったよ!? お金の数え方も覚えたし、買い物のやり方も、宿の使い方もバッチリ覚えたんだよ!?」


今度は私が腰に腕を当てて息を吐いた。

それを見て、隣にいる女の子は額に手を当てた。


「普通の人間なら当然のようにできることなんだけどね。そんなに胸を張って言うことじゃないのよ?」

「うぐぐ……ほ、ほらっ! クエストの目標だったオークはちゃんと倒したんだから、これでクエスト達成! 街に帰って報告するよっ?」

「誤魔化したな」

「誤魔化しましたね」

「しょうがない子ね」

「う、うるさいなぁ! 早く行くよっ!」


ずんずんと歩き出す私に、妖精の片割れは笑いながら飛んできて、私の頭の上であぐらをかいた。足に装備しているゴツゴツとした武具が当たって少し痛いけど、もう慣れたよ。


「でもまあ、城から脱出した直後に比べたら成長したよね。えらいえらい」

「子どもに言うような言い方されても嬉しくないよ……でもまぁ誉め言葉は受け取っておくよっ!」

「そうやってすぐ調子に乗るからそんな扱い方されるんですよ」

「あはは……精進します」

「しっかりしなさい? あなたは王女じゃなくて一般人の冒険者なんだから。学ぶことは沢山あるのよ? でないとあの日せっかく二人で一緒に城から脱出した意味がなくなりそうで怖いわ」

「そうだね。私はもう王女じゃないんだから……」


私はそう言って、首を上に傾けた。

透き通った青空ね。城に居たときは見れなかった景色だ。

ホント。ここまで大変だったよ。

私は王女の身分だけどその身分を捨てて、今はこうして自由気ままな冒険者をやっている。この辺で少し過去を振り返ってみようかな。

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