3-16.タイムリミット
――一方、廃墟のリビングで佇む真琴。
「お帰り。どうだった?」
真琴の元に屈強な男の幽霊が現れる。
「……全員が呑み込まれた。俺のロープを握らせて正解だったようだ」
「そうみたいだね」
重たく響くような声で答える幽霊に対し、真琴は軽く答える。
「どうするつもりだ。全員が呑まれてしまえば、俺たちの捕捉は難しくなる」
「そして集合して脱出することも難しくなる。あたし等が手助けするにも、生の概念に近い場所でないと難しい……さて、どうしたもんだろうね」
真琴は右手でサングラスを外して胸ポケットに仕舞い、そのまま後ろ手で後ろから迫って来ていた怪異を払いのける。
「このまま彼らと一緒に封印するつもりか?」
「いや、もう少し見ていよう。今後の参考として。ここで封印されればその程度の存在だったという事だ。だがもし“這い上がって来る”のなら……まだ猶予を与えるべきかもしれない」
廃墟の周りには大量の怪異が再び集まりつつある。
廃墟のリビングに開かれたゲートは徐々に狭まっている。
「だが門はもう間もなく閉じるぞ」
「それは……あたし等で少し手助けをしてやろう。本当に這い上がって来る気なら、きっと自ずと彼らの“生の概念”に集まるんじゃない?」
真琴は左手に数珠を握る。
「それまで、あたし等が門を開いておいてやろう」
押し寄せる怪異に、一人の祓い師とその幽霊は構えた。
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