Ex-1.幕間 記録①

全ての人間が幻覚を見ていた時、それは幻覚なのだろうか?


我々の認識は他者によって成り立っている。


全ての認識が他人によって評価されない場合、それはその者にとって現実となりえる。


では幻覚が現実となり顕現した場合、果たして何が起こるのだろうか?


幻覚が当事者によって引き起こされているものであれば、当事者の意思でその現実を覆すことができよう。


だが、幻覚が幻覚によって引き起こされる場合。

それは当事者の意思では覆すことが出来なくなる。


これこそ、これより我々が扱う力である。

生と死は概念であり、生者と死者も概念である。

構成しているものが異なるだけで、存在する。


我々は概念を使役し、災いをもたらす概念を消し去り、この世から除霊する。


概念を持ってして概念を制する。


我々に残された道はそれしかない。



――とある集団で行われた演説内容。

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