1-3.リュック
「それじゃ、見送りはここまでで大丈夫かな?」
「はい。ご丁寧にありがとうございます」
わたしは手を振るおじさんにお辞儀をしてお家に帰りました。すっかり日は落ちて、街灯が点々と点いている住宅街を歩いていきます。徐々に家に近づくわたしの足。その足は徐々に遅くなり、重くなります。
ごく普通の一軒家。わたしはその重たい扉をゆっくり、そして慎重に開けます。ゆっくり扉を閉じて、そっと靴を脱ぎ、脱いだ靴を持ち上げて土が落ちないように気を付けながら自分の部屋に持っていきます。
部屋に着いたらボロボロになったタオルの上に靴を置き、そっと自分の部屋の扉を閉めて背負っていたリュックを下ろします。
「ダメだったなぁ……」
リュックの口からは――。
――太い縄や包丁が覗いていました。
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