犬神、編集後記。

「コレ、絶対に僕ですよね?」


《まぁ、うん、そうだね》


「大戸川先生まで」

《いやね、うん。幼さを出すには、やはり背格好の小さい者を、とまぁ、そうしたら酷く禁忌的で。コレなら、良い塩梅かとね、うん》


「まぁ、そうした背格好ながらも、十分に大人の方も居るそうですけど」

《まぁまぁ、コレはある種の祈願、と捉えてみて欲しい。是非にも君には、賢く優しく、包容力の有る妻をと。だ、うん》


「何やら淫靡さも出ていますが」

《そこはまぁ、読者諸君への奉仕だよ、欠片も無いのは流石に不味いだろう》


「まぁ」

《それとも梨にするかい?アレは随分と季節が限られるし、絵映えがあまりしないが》


「僕で遊ぶ流行は、いつ収まりますかね?」

《暫くは、無理だろうねぇ》


 とまぁ、暫く僕は必ず何処かで、土台にされる様になり。

 社も安定し、再び投書に手を付けられる迄になりました。


 けれど、中には投書以外にも。

 はい、世に言うタレコミ的なモノが、僕へと来る事が多くなり。


『林檎さん』

「あ、川中島さん、お出掛けですか?」


『神宮寺がこき使うので、はい』

「相当、物騒続きと言う事ですか?」


『そうならない様にとの見回りです、人員も増えたので、暫くすれば手が空きます』

「そうですか、それは良かった」


『お裾分けです、どうぞ』

「あ、枇杷、ありがとうございます」


『では』

「はい、では」




 それから暫くして、警察に新しい部隊が新設されました。

 犬を扱い捜査する、警察犬部隊。


 諸外国に倣い犬を訓練し、人や物を探させ、時に鎮圧するそうで。

 大戸川先生と一緒に、閲覧式にお伺いさせて頂いたんですが。


 独逸語で訓練されたその犬の迫力は、山犬や狼を彷彿とさせるものでした。


 1度だけ、山で見たんです。

 隣の山に、遠くからでも分かる灰色の体毛と、遠吠え。


 この警察犬よりは体躯は小さかったかと思うんですが、確かに3頭で居る所を見たんです。


 警察犬には諸外国の血も入っているそうですし、実際の標本も少ないので、アレは山犬だったのかも知れませんが。


 うん、襲われたら間違い無く、一瞬で絶命しそうですね。


《ふむ、そもそも犬と》

「先生、もう少し、馴染んでからの方が宜しいかと」


《ふむ、考えておくよ》

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