その10

姫は王子にお願いをした。


「生まれ育った家に帰りたいの」


「外は危険だよ」


「わかっているわ、だって私はさらわれて、さらわれて、助けられて、嘘をつかれて、逃げてここにいるもの」


姫は目をとじる。


姫は母が買ったチューリップから生まれた。


しかし、2度さらわれて、最初の親切の者には裏切られ、最後の親切な者とは王子との結婚で別れた。


「お母さんに会いたいの」


「その分僕達が愛するから。外に出たらまた連れ去られるよ」


そう言って王子は部屋をでていった。


「助けて。みんな私を手に入れようとする」


姫は呟いた。


怖くない怖い話 親指姫

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