第122話 黙々とする仕事

 今日の私達は、じゃがいもの皮を延々と剝きます。


 食堂の裏手、厨房の裏口と食材倉庫の間の狭い通路でリージュさんと一緒に座り込み、ひたすら包丁を動かします。


「リージュさん、五分で何個出来ますか?」


「四個、四個が限界。芽が多いと、もっとかかる…。間に合うかな?」


 開店記念日の食堂は大賑わいで、今日だけの仕事の募集がありました。すぐ横には人参の皮を剥いている見知らぬ二人組が居て、黙々と作業しています。


「魔法で素早く出来たりはしませんか?」


「そんな魔法は無いよ。何も無い。早く終わって、落ちてる芋の皮を全部風で吹き飛ばしたい」


「それ、怒られます。拾って家畜の餌です」


「知ってる…」


 二人で二百個出来て銀貨が一枚。美味しい仕事でした。今日の仕事は、これだけでした。

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