2.『現状の私』

 誰にだって眠れない夜はあるが。

 今日、この日に眠れないのはいかがなものか。

 僕は週6の仕事を終えて。疲れた体で帰ってきて。メシを食って、酒を飲んで。ベッドに寝転んでいる訳なのだが。

 目が冴えて眠れない。

 日中に摂りすぎたカフェインが効いているのだ。

 頭の中は仕事の事で一杯で。週が明けたらどうするかを幾通りもシュミュレーションした。

 だが。今日は休みだ。

 うん。もう今日だ。土曜日になって2時間は過ぎてる。

 参ったな。少しは寝溜めしておきたいのに。

 睡眠薬には頼りたくない。

 普段はアホほど飲んでいるが、週末くらいは抜いておきたい。

 

 僕はベッドから抜け出して。

 キッチンへと向かって、煙草を吸って。

 落ち着いたら、部屋に戻ってきて。

 ベッドの向こうの窓を眺める。

 まん丸な月が僕を捉える。猫の目みたいな満月。夜の女王。

 僕は月が恨めしくなる。あまり月を見ていたくないのだ。

 

 月を眺めるのにうんざりして。

 僕は窓際のPCデスクに座って。

 なんとなくテキストエディタを開いて。

 その黒い画面を眺める。

 うん。最近、纏まった文章が書けていない。

 

 本当は。週6も仕事をしていたくない。

 文章を書く時間が削れるから。

 本当は。文章でメシが食いたい。

 だが。そんなのは叶わない望みである。

 

 何かを書こうとは思うけど。

 何も浮かんではきやしない。

 参ったね。数少ない特技の一つが文章を書くことなのに。

 

 だから、適当にシーンを作って。それをスケッチする。

 小説にならない意味のない文章。

 こんな事をして何になるのか?

 それは僕にも分からない。

 いつかは小説を書かなきゃいけないけど。それが出来る余裕がない。

 こうやって、文章が書けなくなっていくのかな?ふと思う。

 僕はもう32で。創作の才能が枯れ始めているように思う。

 

 誰にも読まれない文章を書く苦痛。

 自分にも意味の分からない文章を書く苦痛。

 ああ、少しでも眠れていれば。まともな文章を書くことが出来るのだろうか?

 

 深夜のPCデスク。

 エナジードリンクの缶で一杯のデスク。

 ココに僕の苦痛がある。書きたくても書けない苦痛。

 

 ああ、いっその事、睡眠薬をガバ飲みして昏倒してやろうか。

 別に毎週、文章を書き続ける義務はない。

 だけどなあ。少し残ってる僕がそれを許さない。

 

 頭がモヤモヤする。

 だけどデスクに向かい続ける。

 テキストエディタにはこの文章が。

 果たしてこの文章は読まれるのだろうか?

 そして、僕は眠れるのだろうか?

 

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