第39話
「哲也さんは何で魔王討伐したのにこの世界に残っているんですか?」
魔王を討伐したら天国に行けるはずそれでも天国に行ってないのは何故だ?女神はやはり嘘つきで魔王討伐してもしなくても天国には行けないのか?
「魔王を討伐したあの日世界中の転生者に天国に行くかこの世界に残るか聞かれたんだが俺は魔王を討伐したから何でも一つだけ願いが叶う状態だったから別に今すぐいかなくても良かったから残っただけだ。」
え?というてことはもう天国に行く手段は生きている間に徳をたくさん積むしかないってことか……、面倒くさいな。
「それより屑君、詩織二人とも成人したんだろう?酒を飲みに行こう!」
「ちょっと待ってくれ兄ちゃん達壊れた馬車代きっちり払ってもらうよ!五十万ギラね!」
瓦礫の下から御者のおじさんが這い上がり言った。
ご……五十万⁉馬車だからそれぐらいするのかはぁーまた借金だよ……。
「それならこれをどうぞ。」
哲也さんは代わりに五十万ギラを支払ってくれた。流石に今すぐ支払われると思っていなかった御者のおじさんは戸惑っていた。そこから俺達は哲也さんに言われるがままカガクの国の酒場に向かった。俺達は酒場のカウンターに座った。
「マスター酒をあるだけ全部くれ!屑君、詩織と君は?」
は?酒をあるだけ全部くれ?やはり詩織の父親だ哲也さんも極度のアル中なのだ。
「私はレベッカです。」
「レベッカ君よろしく、後ろの君は?」
後ろ?もう全員そろっているはずだが誰のことを言っているんだ?
俺は後ろ見るとそこにはクガがいた。
「屑よくもやってくれたぁ……、この我も流石に憤怒しているぞ」
クガはガチギレしている。
そういえばイートに襲われてすぐクガを囮に馬車から蹴り落としたんだった。詩織がイートに飲み込まれた衝撃と哲也さんが魔王を討伐したって話の衝撃が強すぎて完全に忘れてた。
「悪いクガ許してくれ」
「ダメだ!今の俺はボルケーノドラゴンよりも熱く煮えたぎっている、永劫の業火で灰とウプッ!ンンンン‼」
クガは哲也さんの手によって口の中に無理やり酒を流し込まれた。
「まあまあそう怒りなさんな。酒を飲めば全部忘れるさ」
やばい、ここに残ったら昨夜の二の舞だ、気を失うまで酒を飲まされ続けてしまう。逃げなければ……。
「屑、あんた一体どこにりこうってのろ?」
「お手洗いに……。」
こいつもう完全に出来上がっていやがる。呂律も微塵も回っていし早く逃げなければ。
「何りってんのろ~?酒飲めば忘れるらろ~。」
詩織は俺の首に腕を回し逃げられないようにして口の中に無理やり酒を流し込んできた。
またかよぉ!気持ち悪い!こいつ昨夜のこともまだ復讐出来てないのに追加攻撃してきやがって、助けようとしてくれた命の恩人(仮)に向かってよくも~。
それからどれほどの時がたったのだろうか気が付けば日は沈み再び日が頭上に上っていた。その中で覚えているのは閉店だからと退転しようとしたマスターにも酒を無理やり飲ませていた光景とゲロに映る自分の顔だけだ。
「うぅ……、おええええ!」
朝、鳥のさえずりと俺の嘔吐音がドゥエットした。
うぅ気持ち悪い……、本当にこの親子は似すぎだ良いところも悪いところも。
「おえええ!」
どうやら俺と鳥のドゥエットの音でクガも目を覚ました。今度は俺のものとクガのものがブレンドされた。
「クガ……大丈夫か?」
「大丈夫な訳ないだろ……おええええ!」
やはり不死身とは言えお酒には勝てないらしい。
「すいません二人とも私何もできませんでした。」
レベッカが申し訳なさそうに言った。
タオルに水か俺達のことを看病していてくれたのか……。
「別にいいよ……何で泣いてるの?」
「でもお二人が辛い思いをしている間ただ突っ立って見ていることしか出来なかったことが悔しくて、悔しくて。」
まるでボス戦後のヒロインみたいなこと言いやがって俺達死んだのか?
「あれで何かできる人はいないよ、マスターだってゲロ吐いてるし。」
「あれくじゅ何してるの?うぅ頭が痛いわーコンディションリカバリー!」
詩織は寝起き早々自分の二日酔いだけを醒ました。
「ふわーぁ……よく寝た。あれ、屑君?何故ここに?」
何でこの人はあれだけの酒を浴びるように飲んだのに微塵も酔いが残ってないんだ?臓器まで化け物なのか?
「全く私という優秀な僧侶がいなかったら二日酔いが永遠に続いていたのよ。まあ私は優しいから治してあげるわ。コンディションリカバリー」
詩織のスキルのお陰で俺とクガの二日酔いも醒めた。
この野郎……今はゲロと一緒に魔力が流れ出てしまったから無理だがこの恨みはいつか必ず晴らしてやる‼
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