第34話
「あと五万ギラだけどどうするの?」
「まあ任務は危険だしなぁ……、よし隣街に行くか!」
「え?何故隣町に行くのですか?」
レベッカはキョトンと首を傾げて尋ねた。
「まあまあ行けば分かる。」
そして俺達三人と一匹は隣町に歩いて向かった。
「さてと……、詩織どうやって稼ぐ?」
「握手会は絶対嫌よ!」
俺のわざとらしい質問を食い気味に拒否した。
チッ!流石に無理か……、こいつの前握手会ってことにしたら四十七万ギラ簡単に稼げたのに。こいつ顔だけの癖してその唯一の長所の顔の使い方が悪いな、勿体ない。とはいえこうなることは大体想像できてたから隣町に来たのだ。
「詩織、あそこの男の人の前で転んで来い。そして責任を取ってくれと言え」
と、道行く男性を指差した
「別にいいけど」
詩織は俺が指差した男性の前に向かった。
「キャッ!」
わざとらしい猿芝居のような棒読みのセリフで転んだ。
あのバカ、もう少し上手に出来ないのか?
「あのー大丈夫ですか?」
道行く男性は転んだ詩織に手を差し伸べた。
よしっ!引っかかったな!
「ありがとうございます。」
詩織は男性の手を取り起き上がった。
「あの責任取ってもらえませんか?」
「え?責任?」
突然のことに驚いた男性は詩織に問い返した。
「レベッカ達はここで待ってくれ」
俺は一人で道行く男の方に向かった。
「責任ってどういうことですか?」
「お前責任も分からないのかよ。男と女が手を繋いだら子供ができるだろ!」
「え?えっ?」
「そんな酷いわ……、あなたが私に子供を作ろうと手を繋ごうとしてきた癖に!」
詩織は俺の言葉で状況を理解して、泣きそうな霞む声で言った。
「いや、でも……。」
「お前子供を作ろうと手を伸ばしておいて責任取らないのは男として最低だ!ちゃんと責任取るべきだ!」
「え?けっ……こんしろってことですか?」
「嫌よ!」
「詩織どうしてだ?相手は責任を取ってくれるって言うんだぞ?」
振り返って詩織質問した。
「私グスンあの人のこと好きじゃないのグスン……、無理やり子供を作ろうと手を繋いできたのよ!」
詩織は両手で顔を覆い泣いたフリをした。
「なにー⁉お前最低だぞ!」
俺は男性の胸ぐらを掴んだ。
「だから別にそんな気は……」
「何を言っているんだ!?君は子作りする気も無い女性と子作りをするのか!?」
迫真の名演技で男性を問いただしだ。
「そういう訳じゃ……、え?手を繋いだら子供できるんだっけ?」
この状況を理解できず、自分が間違っているのかと不安になった男性はボソッ小さな声で言った。
「酷いわ、グスン遊びで私を妊娠させるなんてグスン……。」
「辛いよな、大丈夫、大丈夫だよ。おいお前!こんな純粋な女の子と遊びで無理やり子作りしたのかお前は最低のクズ野郎だな!」
「……分かりました、責任取ります。」
男性は覚悟を決め、どんなことでも受け入れる顔だ。
「そうか分かってくれたか。詩織は何をして欲しいんだ?」
「日本酒じゃんじゃん持ってき……痛い、痛いから止めて。」
俺は詩織をつねった。
「おいバカ金を要求するんだよ。」
こっそりと詩織に耳打ちした。
「え?日本酒?」
「違う、これはきっと君が無理やり子作りした時のトラウマがフラッシュバックしているんだ。」
「そんな……、すいませんでした!急いで日本酒買ってきます。」
男性は自らの行いを悔い改め、後悔した。
「待って日本酒じゃないわ、お金が欲しいの十万ギラ。お金で嫌なことを忘れたいの。」
バカ!言い方ってものがあるだろ!
「じゅっ、十万⁉……分かりました、支払います。」
男性はカバンから十万ギラ取り出し、詩織に手渡した。
「あの、これで大丈夫ですか?」
「ええ……。」
「もう辛いこと思い出させたくない早く立ち去ってくれ。」
シッシッと、俺は男性を手払いした。
「分かりました」
男性はそう言い残し、足早に歩いて行った。
「とっ、とんでもない恐喝やで。レベッカはあんなやつらと同じパーティーでええんか?」
「はい!もちろん。」
レベッカは紙にメモを取り終えると、俺達のもとに来た。
「屑さん詩織さんすごいですね。あのようなお金の稼ぎ方があるなんて知りませんでした。勉強になりました!」
輝く目でこちらを見て言った。
「そう、それは良かった。」
レベッカは何を学んでいるんだ?こんなモノ学んじゃダメに決まっているのに。
「ふふふしっかり私から学びなさい。できるお姉さんとは何かを。」
「とんでもない暴論で人から金を騙し取るのができるお姉さんな訳ないやろ。」
「うるさいわね」
詩織は怒って、ハムスター投げ飛ばしたいと思っているが、レベッカが守っているので手を出せないでいる。
「まあまあ、これでようやくカガクの国に行ける訳だし屋敷に帰って旅行の用意をするか」
俺達は屋敷に向かって歩き出した。
やっと俺達は他の転生者に会えるのか楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます