第14話
「ありがとうございます」
と、三人組が無理やり馬車に乗り込んできた。
話通じないのかよ!面倒くさい。
「俺はセノ十七歳だ」
「僕はイシダ十七歳」
「俺はこのヘルファイヤーオブダークネスのリーダーのクガだ。歳は千を越えてから数えていない。」
クガは片手で片目を隠し中二病っぽいポーズを取った。
セノ?イシダ?クガ?どれも日本人の苗字と同じじゃないかもしかして……。
「その名前もしかして転生者?」
僅かな可能性に胸を躍らせて身を乗り出して質問した。
「なんだそれ?」
セノは首をかしげた。
「なんだ違うのか名前が日本人っぽいと思ったんだけどな」
「ククク俺は転生者だ」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべ、クガは答えた。
「なに⁉」
俺、和、詩織は身を乗り出して驚いた。
転生して初めて見る自分以外の転生者に安心感が沸いてきた。
「この俺は大悪魔の生まれ変わりだ」
「中二病かよ!」
俺は思わず突っ込んでしまった。
もしかしてと期待したが違った。ただのバカな中二病だった。
「ところでクガさん右手の包帯はどうしたんですか?」
レベッカはなぜかクガの心配をした。
どうせ力の封印だの中二病話されて面倒くさそうだな。
「これはさっき躓いたんだよ」
「中二病あるあるじゃないのかよ」
またしても突っ込んでしまった。
「じゃあその首輪みたいなのは?」
またしてもレベッカが質問した。
何故こんなにもレベッカは質問するんだ?どうせ、今度こそ中二病のファッションで作り話聞かされるだけだぞ。
「これは幸運値上昇のマジックアイテムだ」
「また違うのかよ」
クッ、またどうでもいいことに突っ込んでしまった。
「ではその眼帯はどうしたのですか?」
またレベッカが質問した。
どうせ今度も中二病関係ないんだろう。もういいよ、面倒くさい。
「クククこれは俺の邪眼に悪魔を封じているだけだ」
「それも普通の道具にしとけよ!」
俺はまたしても突っ込んでしまった。
「そうだ魔王ってどこにいるんだ?」
俺はクガに質問した。
いくらバカでも冒険者なら何か知っているだろ。
「魔王ってwwwお前面白すぎるだろwww子供かよwww」
「中二病にガキ扱いされた⁉」
俺は衝撃と怒りを覚えた。
この野郎……、必ず、必ず俺を馬鹿にしたことを後悔させてやる。
「着きましたよ」
馬車を運転していた御者がこちらを向き伝えてくれた。俺達は御者の言葉で全員馬車から降りた。既に他の冒険者たちはダンジョン入り口にて集まっていた。
「それでは皆さん好きなタイミングでダンジョンに入ってください」
受付嬢の言葉と共に多くの冒険者たちが一斉にダンジョンに入って行った。しかし俺達だけはその場に留まった。
「あのー、行かなくていいのですか?」
他の冒険者がダンジョンに入っていくのを横目にそわそわしているレベッカは俺に尋ねた。
「まだいいかな」
「何故ですか?」
「先に行った人達に魔物を倒してもらえば安全にダンジョンを攻略できるから」
「なるほど」
「とはいえお宝を全部取られたら意味ないわよ」
「だからタイミングが大事だ、そこで俺が覚えた新スキルマップ。このスキルは地形、人の位置、魔物含む動物の位置、宝箱の位置が分かるんだ」
「おぉ屑でかした」
和が嬉々として俺の肩を叩いた。
「たまには役に立つじゃない」
たまにはってなんだと偉そうだなダンジョンの中に置き去りにしようかな。
そして一時間が経過した。
「そろそろ行くぞ、魔物はほとんどいなくなってる」
「お宝は残ってるわよね?」
「宝箱は殆ど減ってない。お宝は一か所に集まっているからそれを見つけたら大金持ちだ。よし行くぞ、お前ら」
俺達はやる気十分でダンジョン内に足を進めた。
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