第13話
俺達はダンジョン攻略のために机を囲み作戦会議をしている。
「ダンジョン⁉そんなところに何しに行くんだ?」
和はダンジョンという言葉に驚き眉を細めて俺に質問した。
「実は昨日大規模ダンジョン探索の張り紙を見たんだけど、参加するだけで報酬貰えるらしいんだよ。だからバトルを他の奴らに任せてお宝探せばお金がガッポガッポって訳だ」
俺は親指と人差し指を合わせお金のサインをし、それを上下に揺らした。
「それはグッドアイデアよ、屑」
詩織はグッドサインを送った。
『流石にバトルを全部任せるのはどうなのでしょう』というレベッカの心の声を聴いた。
「レベッカ今流石ににバトルを全て任せるのはどうなのでしょうって思っただろ?」
「えぇぇー!なぜ分かったのですか?」
レベッカは大きく開けた口に手を被せ驚いた。
うん素晴らしい反応だ。最初にやったのがレベッカで良かった。詩織だと怒ってたかもしれないし。
「カジノでイカサマして荒稼ぎするためにスキルテレパシーを習得したんだ」
と、渾身のどや顔を披露した。
俺は魔王なんて討伐しないし魔王と何て戦う気はない。カジノでイカサマして楽して一生を過ごすのだ。
「残念ですがカジノ内は魔法やスキルは一切発動しない結界が張られているので無駄ですよ」
「マジか……、スキルポイント無駄じゃん」
と、悲しみで肩をすくめガクッと首が折れた。
最悪だ……、ポイント結構したのに無駄とは。
「はい本当です。ですが魔物や動物の心も読めるのでバトルでも使えるので完全に無駄って訳じゃないと思いますよ」
悲しむ俺を励ましてくれた。
優しいな、ボンボンそうだし今度心を読んで上手いこと金を貰おう。
「それよりなんであんたたちは攻撃魔法を習得しないのよ」
「攻撃魔法って工夫しようがないだろ」
和がやれやれと首を振って答えた。
「そうなんですか?」
レベッカは首を傾げ聞き返した。
実際そうだがそうじゃない、俺達が攻撃魔法を覚えない理由は日常で使えないからだ。
「こんな言葉に耳を貸しちゃあだめよこいつは備え付け初期攻撃魔法以外のスキルは覗きをするためだけに覚えた透明化しかないカス野郎だから」
「な⁉そんな理由で覚えただけのスキルに俺の仲間は負けたのか……」
ダズは途方もないやりきれない思いで膝から崩れ落ちた。
そうだった、こいつは覗きようのスキルで負けて家を取られた可哀そうな奴だった……、ダズってバカじゃん。こんな話をしている場合じゃないな。
「無駄話はそこまでにしてダンジョンのための用意をしろよ。ダズ、ダンジョンで使えそうなものってどこにあるんだ?」
「それなら地下にある。そこの階段を下りると良い。」
と、階段を指差した。
「サンキュー」
俺は立ち上がり部屋を後にした。
武器が欲しいな。覗きスキルでやられたダズの持ってるものなんて大したことないだろうな、期待しないでおこう。
「待てよ、屑。俺も行くから」
と、立ち上がり俺の後に続いた。
俺たちは階段を下りいろいろな道具を見て回った。クロスボウや弓矢など様々な道具があった。
「見てみろよ、屑ダイナマイトだぜ」
和は少年の様に目を輝かせて、手に持っているダイナマイトを見せてきた。
「おぉ!すげぇーでもこれ導火線がないけどどうやって使うんだ?」
「ここは異世界で魔法がある世界なんだから魔力込めれば良いんじゃないか?よし、決めた俺はこれを持っていくぜ」
「やめろよ、そんなもん使ったらダンジョンが崩れちまうだろ」
奇行に走り始めた幼馴染の行動に制止を掛けた。
「大丈夫だって一本だけだから」
と、ダイナマイトを二本取った。
「ん~……、物騒なもんばかりだなこれじゃあ何持って行っても危ないな。俺はいいや」
探すことをやめて階段を上がった。
期待していなかったのに、想像以上に大したものが無かったな。
「なにか良いものあった?」
階段を上がるとすぐ嫌がるレベッカに無理やり抱き着いている詩織が質問してきた。
「無かった。それより詩織レベッカを開放しろ、可哀そうだ」
俺は何度言ってもレベッカに抱き着く詩織に呆れて言った。
「チッ!」
詩織はレベッカから渋々離れた。
「屑さんありがとうございます」
可哀そうに本当に不憫だな。おかしなアル中ロリコンと出会いさえしなければこんなことにはならなかったのに……。
「詩織達もダンジョンの用意をしろよ」
和は詩織に指を指して、釘をさすように言った。
「それなら既に用意したわよ」
何やら詩織は自信満々に答えた。
不安だ……、このバカが自信満々に答えるって何かあるな。とりあえず聞くか。
「何用意したんだ?」
「そ……それは……」
「秘密よ」
レベッカが口を開き説明しようとしたが、しかし詩織に発言を遮られた。
本当に不安だ、念のため心を読んでおくか。
『危なかったわ、用意っていうのがレベッカちゃんにバニー服着せることだってばれたら止められるに決まってるわ』と詩織の心の声が聞こえた。
このバカ!
「おい詩織、レベッカにバニー服着せることはダンジョンの用意じゃないぞ」
「へ⁉な……そんな訳ないじゃない」
詩織は滝のように汗をかき、一度言葉に詰まったが必死に隠そうとして言った。
何という分かりやすい奴なんだ、バカすぎるだろ。
「嘘つくな、心読んだから分かってんだよ」
「勝手に心読まないでよ!こっちのプライベート守ってよ」
顔を真っ赤にして憤慨した。
何でお前が怒るんだバカ。はぁー、これからは詩織のセクハラに気を付けないといけないのか……。
「レベッカもレベッカでちゃんと断らないと」
和がレベッカの顔を見て注意した。
「うぅ……、お恥ずかしい」
赤面した顔を両手で隠して照れた。
「もういいダンジョンに向けて今日は休もう」
呆れて俺はその場を離れ、自室に戻った。
こいつらと一緒で大丈夫なのだろうか?和はともかく、詩織は問題行動が多いし、レベッカはすぐに騙されている。俺のパーティーにはバカしかいないのか?
次の日朝早くから俺たちはギルドに向かった。そこには俺達を含むたくさんの冒険者が集まっていた。
「皆様この度はダンジョン探索任務をにご参会いただきありがとうございます。皆様にはダンジョン最深部を目指していただきます。では外の馬車にご乗車ください」
受付嬢が俺達冒険者を外に誘導した。外にはたくさんの馬車が並んでいた。俺達はいち早く高そうな馬車に乗りこみ占領していたのだが、そこに男性三人のパーティーが乗りこんできた。
「相乗りしてもいいですか?」
一人の男が俺たちに質問した。
まじかよ……。折角早く乗り込んで占領したのに、仕方ない旅は道ずれ、世は情け。心優しく対応しよう。
「ダメだ」
力強く絶対に相乗りする気は無いことが伝わるように言った。
情けのある人間なら道ずれに何てしない、つまりこいつらは情けの無い極悪非道の人間だ。
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