4dy


まだまだ話したいことはあるの。

わたしは時間があるけれど、あなたはまだいいの?


時間があるのならゆっくりしていってね。


わたしの話ばかりで飽きないかしら。

あなたの話も聞かせてね。


って、前置きはさておき、

高校の時の話をするわね。


わたしね、なんだかんだ高校にいけたの。

なんでだったのか、よく覚えていないけれど。


ただ、誰かに私のことを見てほしいという気持ちは変わらなくて、

どこかで、わたしのことを見ていてほしかったのかもしれないわね。


ただ裂いているだけだったのに、だんだんと範囲が広がっていって、

どこでも裂くようになった。

自分がまるで赤い花かのように。真っ赤だったわね。


首を絞めるようになったの。

なんでかな、なんにも満たされなかった。


母があんななのに、なんで高校に行けたのかって?

不思議よねぇ。


あの頃は自分を変えたいと思っていた。

何とかしたくて、でも変わり方なんて知らなかったのよ。


でもとにかく変わりたかったの

だから勉強をとにかく頑張って、特待生として入学したの。

バイトも頑張った。食費をわたしで稼いだ。

生活もできるようになったの。


わたしの腕にある勲章はなくなることはなかったけど。

それでも頑張れているわたしに、なんとか満足しようと思ったのよ。

なかなかできるものではなかったけれどね。


母がほめてくれる。

少しでも見てくれるんじゃないかって思って。

すごく、しんどいわたしに気づかないように、

なんとか耐えて、生きているって知りながら生活してたの。できてたのかはわからないけれど。


死ねないわたしがいて

死にたいわたしもいて


頑張りたいわたしもいたし、

もう限界だって泣きわめきたいわたしもいた。


それでも耐えて、

耐えて、なんとか踏ん張っていたのに。



ひさしぶりに帰ってきた母は、

わたしになんの興味も示さなかった。

話しかけたわたしのことを、

頑張ってきた私のことを無視したのよ!!!

なんで、無視されなきゃいけなかったの!

愛されたかっただけで、

認めてほしかった、愛してほしかった。

ただ、声をかけて、こっちを見てくれるだけでよかったのに!



あら、少し感情的になってしまったわね。

ごめんね。

怖かったわよね。ただの思い出話なの。

そんなんに心配しないで。


高校のとき本当に嫌になったけど、

どこかであきらめもついたのかもしれないわね。



”結局一人で生きていかなければならない”

”わたしのことは私が守るしかないって”


今思えはよかったのよ。

母の呪縛から解放されたのよ。


やっと私の人生が歩めるって思ったの。

どこかで、吹っ切れて、どうにかできるって思ったの。



だって、このおかげで今の私がいるんだもの。

感謝しなきゃよね。

感謝なんてしないけど。

わたしを苦しめたんだから。

母はもう母じゃない。

愛してくれないのなら、見てくれないのなら、

もう関係ない人なんだから。


ついつい、私が話すのに夢中になりすぎちゃったわ。


あなたは家族とはどうだった?

家族ってどんなもの?

どんな存在?


ねぇ、私に教えてくれないかしら。

わたしも知らないのよ。


高校時代はどうだったかしら。

あなたは幸せだった?


愛されていたのかしら。

私に、

わたしに教えて頂戴。


”生きるって”

”愛されるって何”

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