親友と写真

「んー倒せん」


そう1人事をこぼした陸はゲームの画面をじっくりと見る。

とあるボスを倒そうとしているのだが、攻撃モーションが特殊なため、回避が上手くできず苦戦していた。


「ここ避けて....ここタイミングよくパリィ....それやめろ!!」


敵の攻撃をまともに食らってガメオベラの画面が表示される。


「もう1回!もう1回!私はここで沼ります」


何回も負けていたため、少し頭のネジが外れたのか、替え歌を歌いながらゲームをリスタートする。


「右!左!右!左!上!上!下!下!攻撃!魔法!負ける!」


HPが残り30ぐらいで再びガメオベラ画面になる。


「どうやって戦えばいいんだ....」


「攻撃特化にしなさい」


「!?」


背後から声をして、陸が思いっきり後ろを振り向くと中学時代からの親友。優撮 太郎ゆうと たろうがいた。


「ハロー」


「ハローじゃねえよ!」


「どうやって入ってきたかい...?」


太郎はニヤッと口角を上げる。


「あぁ....そうだ」


陸もノリで相手の接近を許した主人公のライバルポジションみたいな喋り方にして、息を飲み込んだ。


「筋肉だ」


そう言って太郎は自分の筋肉を見せつけるようにポーズを決める。


「本当は?」


「普通に開けてもらった」


「しってた」


2人はそう言って笑い合う。

太郎は頭を坊主にしており、いかにも脳筋と思われそうなほど筋肉着いている。しかし実際はオタクであり、運動は嫌いな方である。


理由は単純で「疲れる」かららしい、なのに何で筋肉が着いているのかは家が道場で少しでも筋肉が劣ると死ぬほどしごかれるかららしい。

一応部活に入っているのだが、もちろん運動系では無いものの少しは体を動かせるだろうと写真部に入っている。


「それで、なぜ来た?」


その質問に太郎はデジカメを見せて言った。


「部活の課題で人がメインの写真撮れって言われてるから手伝って」


「よかろう」


「よっしゃあ!」


「その代わり、飲み物を奢れ」


「いいだろう!」


「着替えるからまってて」


「おk」


変なテンションで行われる会話は、他人から見ると頭おかしいんじゃないかと思われそうだが、彼らの中では普通であり、学校では舞がツッコミ役になっている。


そして、しばらくし、太郎の元に陸がやってきた。


「直ぐに出発じゃ!いくぞ!」


「いいだろう!」


2人は外に出て街中を探索し始める。


「それでどんな写真?」


「自然の中に人が立ってる写真」


「知らない人でもよく」


「かっこ、今流行りのポーズ入れろかっこどじ」


「何その地獄」


「うちの部活顧問はクソです」


「知ってる」


2人はとりあえず公園に付いて一息する。


「もうここでよくね」


「うん、俺もそう思ってた」


とりあえず、陸は最近流行ってるポーズ事、ポーズことジョ●ョ立ちをする


「写真ヨシ!」


「ヨシ!」


2人は写真を確認すると、暇つぶしにそのまま公園を探索する。


「見ろよ、セミだぜ」


「うぉ、すげ、木に止まってるセミ見つけづらくて見たこと無かったんだよな」


「地味にわかる」


太郎はパシャっと写真を撮る。


「何枚か写真撮って見せなくちゃなんだよなぁ...めんど」


「写真部なぜ入ったし」


「自然好きだから」


「なるほど?」


2人は変なテンションで会話を続けると、喉が渇いてきたため近くの自動販売機で飲み物を買う。


「緑茶でよろ」


「了解」


少しして出てきた緑茶を太郎は陸に向かって渡した後、こう言った。


「そういやさ、お前舞の事すきなのか?」


「? いや、友人だと思ってるけど?」


「ほんとでござるかぁ?」


「舞もそんな素振りねえし気のせいだよ」


陸はそう言って緑茶のキャップを開けて飲み始める。


「ふーん?」


そのセリフを聞いた太郎は(舞、応援してるぜ)と思い心の中でサムズアップをするのだった。

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