ネッ友とのゲーム
『え?もうクタさん、夏休みなの?』
『そうだよ、あ、課題も終わらせたぜ!』
『すごいなぁ....』
陸はスマホのディープコードというチャットアプリで素早くキーボードを操作して返信をする。
『ボクは来週からだなぁ....』
『頑張れよ』
『うん!』
その返信をみると、スマホを一旦置いてゲーム内の農作業に励む。
しばらくして、ふとネルの建築の進捗がきになって、スマホを操作してチャットを送る。
『そういえば建築でけた?』
『うんできたよ〜』
陸とチャットしてるのは、ネット友達。略してネッ友のネルという人であり、陸はネットではクタという名前でやっている。
ネルとは世界で有名なサンドボックスゲームである、ラクストキューブというゲームで出会い、それから5年たった今でも仲良しである。
それは2人の好きな作品等が同じだったり気があったりなのもあるのだが...それは最初だけであり、今では少し違う理由でも仲良しなのもあった。
『僕の建築物見たいからそっち行くね』
『いいよ〜』
言い忘れていたが、2人は家庭用ゲーム機版のラクストキューブでやっているのだが、これは他の物より性能が劣っており。
これは複数人でやってたりしてたらすぐ重くなったりしてしまうという弱点があったのだが、最新バージョンでは容量が大きくなった分それが直されていて、今では快適にマルチプレイが出来るようになっている。
「すっご...」
彼が操作するキャラクターの目の前には、リアルでもそんな声が出てしまうほど立派な和風のお城が建築されていた。
『凄いでしょー』
『うん...すげぇ....』
『内装もちゃんとあるよ〜』
『なっ....なんだと!内装は無いそうですじゃないだと....!』
『う、うん?そうだよ?とりあえず案内するね』
返信がくると同時に、彼の目の前にピンク色のパーカーを着ている女の子見た目をしたキャラが降りてきた。
『クタさん、ついてきてー』
『りょ』
そのキャラが動くと同時に陸もキャラを動かした。
その建物内はちゃんと湧き潰しされており、内装もちゃんと日本のお城をイメージされており。殿様が居そうなところにはちゃんと再現されている刀があった。
『やっぱり建築力、化け物だな.....』
『? 普通だよ〜?』
その後も内装の紹介をされながら探索していると急に足元に穴が開いて、そこに落ちる。
少しするとダメージ音と共に地面に着地し、確認するとHPバーが半分になっている。
『出して?』
『ダメ』
(だめかぁ....)
部屋の中はベットチェストが置かれてるだけであり、周りは石のレンガで固められている。
そしていつの間にか、目の前の鉄格子越しにピンク色のパーカーを見た目をしたキャラ、つまりネルがいた。
『いつも疑問なんじゃけど、なんで建築する度閉じ込めるんですかねぇ?』
『何となく?』
『こわいよ!?』
これが今2人が仲良しの理由である。
簡単に言うと、ネルは無意識でヤンデレ化してしまうほど、クタが好きになってしまっているのだが...
陸はそれがネタだと思っているため、引いたりせず逆に面白い人だなといつものように接してしまうのだ。
『あ、クッキー焼けた』
『いってら』
ネルのキャラがピタッと動きを止める。
その間に陸はそそくさとピッケルを使って牢から脱出すると、適当に周りを掘って農作業にもどった。
しばらくすると、ネルから美味しそうなクッキーが盛り付けされたお皿の写真が届く。
『美味しそう』
『とっても美味しぃよ〜』
その写真をじっとみていると、お腹の音がくぅーとなった。
『ごめん、朝ごはん食べてくる』
『う、うん...って、もう10時だよ!?』
『しょうがないじゃん、朝起きたの9時なんだから』
『えぇ...』
『とりあえず後でね』
『わかった〜』
陸はセーブして終了を押して、無事ロードが終わるところまで見守ると、リビングに向かうのだった。
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