神様がいるかもしれないこの世界で

永寝 風川

プロローグ

終業式

それは、学期終了の合図であり、また長期休み開始の合図でもある。

体育館の中はとても暑いため、校長先生の話など入ってこず。なんなら、外からの蝉によるオーケストラという名の鳴き声の方が入ってくる。

そんな終業式で校長先生の話を聞いておらず、ぼーっと他のことを考えている青年がいた。


(これから、最後の夏休みかぁ....なんか、入りたくないなぁ...)


普通の生徒なら考え付かない言葉だと思いつつも彼は考え続ける。


(将来どうなってるのか不安だし.....、なんか退屈なんだよね....)


彼がそう悩み続ける合間にも、校長先生のながーい話は終ろうとしていたのだった。

時間が経って、その日の夜中。

高校三年生という、青春ラストスパートを謳歌する青年、夏風 陸あつかぜ りくは早速夏休みの課題に取り掛かっていた。

帰ってきてすぐしていたおかげか、残り4教科まで減っていた課題に、陸は内心(こんなに早く終わるものだっけ?)と思いつつもカリカリとペンを走らせる。


「んっ....!ふぅ....」


彼が背伸びをして、時間を確認したのは夜中の0時43分だった。

その後チラッと机の上にある課題に目をやると、残り2教科まで減っている。


「....退屈...」


一言そうこぼす。

彼は時々こう思うことがある、なぜこの世界には非常識がないのかと、例えば神、例えば妖怪、例えば魔法少女、例えば悪の組織などなど、この世界にはそんな物がなぜないのか?と...


いや、本当はあるのかもしれないしいるかもしれないが、自分は見えない感じない=居ないと思う。


だからこそ、彼の場合、「神はいると信じますか?」と他の人に聞かれたら「居る」と答えるのだろうが、心中では(いた方が面白い)と思うだろう。

まぁ要するに、そんな存在がいて欲しいと思っているオタクの青年なのだ。


(ラノベみたいな事起きないかなぁ....)


彼は集中力がとりぎれてしまい、無意識でイスに体重を乗せてぐったりする。


(例えば、美少女が家にやってきたりとか、異能が突然世界に湧き出たりとか...)


修正、彼はオタクというなの厨二病患者なのだ。


(それにしても、本当に神様とか居ない世の中なのかなぁ.....?)


彼がそう目を瞑ろうとした瞬間、ハッと我に帰る。


「早く終わらせよう....」


彼はとっくに冷めているカフェオレを一気飲みすると、そのまま夏休みの課題を進めるのだった。夏休みを1日も長く謳歌するため、ゆっくり休みたいため、なにか特別な事が起こると信じながら...

彼がベットに潜ったのは夜中の2時になりかけてる頃であった。頭の中で明日は不思議な事は怒るようにと願いながら瞼をゆっくりじ、そのまま眠りにつくのだった。

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