Stage06~顔馴染みの再開~
新たな変革が生まれた入学式は、無事に終了した。俺と一枝はクラス分けの掲示板へ向かうが、想像以上に人が多い。
「すごい人だな」
「どんな人がクラスなのも、気になるしな~」
シーズン学園は芸能事務所に所属している人も居る。どんな人が同じクラスなのか、皆気になっているのだろう。人の波を隙間に入ったり、かき分けたりして、やっと掲示板に辿りついた。
「俺たち同じクラスだぜ」
「ほんとだ」
大きな掲示板に張り出されているクラス分けを見ると、一年A組と書かれている。掲示物に一枝、それより進んだ番号に自分の名前が記されていた。
そして、俺の名前の下には西園寺カゲロウ、それより後の番号に巴イブキ、なんと、入学試験のメンバーと同じクラスだった。
「まさか合格していたなんてね」
「早乙女さん試験振りですね」
教室に入って早々、西園寺と巴の姿があった。俺の姿を見るなり、西園寺は大きなため息をついていた。一方巴はふわりと、微笑み全員が合格していることに、喜んでいた。
「なんだ ?二人はハルキと知り合いか ?」
親しく話している俺たちを見て、一枝は率直な疑問を持つ。そこで西園寺は小馬鹿にするように、実技試験のことを話し始める。
「実技試験で同じメンバーだったのよ、早乙女は試験中に転びそうになってね、あの時はハラハラしたのなんの」
あの事件を掘り起こすのは、やめてくれ、あの時は、いっぱいいっぱいだったんだ。この事件は暫く持ちネタにされそうだ。
「そうか!いいな試験の時から一緒なのは…」
「ヒロ!」
一枝の話を遮るように凛とした声は全員が声の主に振り向く。ぱっつんの前髪に、きっちりとした。三つ編みの似合う女子生徒だ。一枝のことを知っている。と言うことはこの二人は、知り合いだろう。
「ヒカル~あれ俺たち同じクラスだったか」
「クラス表全部みなかったのね、同じクラスよ」
一枝はヒカルと呼ばれている女子生徒に向けて、手を振ってい、同じクラスに喜んでいた。対して、ヒカルはため息を出していた。すると、ヒカルは俺たちに真っすぐな目線を向けて、お辞儀をする。
「初めまして !
「そうか、俺は早乙女ハルキだ」
幼馴染か、なら納得の関係だ。元気に挨拶して、ハキハキとしている様子は委員長のような人だ。互いに自己紹介が終わったところで、このクラスをぐるっと見ると、全員が顔見知り同士で編成していることを考える。
中学の頃の入学式直後は、近い席の人間しか話さなかったが、今回は席の場所を超えて、各々が会話をしている。
「席につけ。今から
教室の扉を静かに開けながら、女性教師が全員に伝える。敬語がなく。短めの言葉遣いは、あまり見ないタイプの教師像だ。全員が席に着いたのを確認すると、女性教師は口を開いた。
「今日から一年A組の担任を努める。
白金先生は自己紹介が終わった後、黒板に名前を書き始める。チームA、B、C、D、E、Fと六つに分けている。人数に統一性はない。
「君たちには、早速チームドリライで実力を見る」
チームドリライがまさか、入学初日にするとは、流石、名門校。やることが予想の斜め上だ。気になるメンバーを見ると、入学試験時と同じだ。
「課題はなし、ドリライパフォーマンスはソロに限定する」
課題がない。と言うことは、前回のように“春”とハッキリとしたテーマがない分。リアルタイムで観客の夢を再現しなければならない。イメージを瞬時に実現する力が必要だ。今回は苦手なダンスよりも、ドリライパフォーマンスが一番難しい。
「衣装は机上のドリカにデータ化してある」
衣装が電子化 ? こんなにも薄いカードに衣装がデータされていることに、信じがたいが、事実なのだろう。後で、確認しよう。
「ドリカには貴方達が、入学前にリクエストした衣装が、一セット入って入る。今回の衣装はそれを使え」
一枚のドリカには、複数のコーディネートのデータがるのか、身近に見る交通系ICカードとは、かけ離れた技術だ。どうやって、着替えるんだ ?様々な疑問が出る中、話は進む。
「では、直ち衣装部屋に集合だ」
入学試験とは違い、今回の実力検査のドリライは、俺にどんな影響を与えるのか、考えるだけでも、想像は膨らんだ。
「早乙女ハルキ、貴方はパフォーマーの資格がない」
しかし、俺は甘く見ていた。シーズン学園がトップパフォーマになるのが、いかに大変か、思い知らされるのは、直ぐだった。
----------------------------------
【一枝ヒロ】
ミルクティー色の髪が特徴の元気で朗らかな青年。幼馴染のヒカルとは仲が良い。
入学試験はヒカルとペアでチームドリライをした。
【二条ヒカル】
ぱっつん前髪で黒髪三つ編みの女性。朗らかなヒロと似て、朗らかだが、
案外しっかりしている。
【ドリカ】
衣装データが保存されているカード。複数のデータが保存可能。
学園生徒に配布される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます