第11話 ルルの異変と紫の光

今日もミリアは朝起きて、歯磨きをして、朝食を取り始めるはずだった。

が、しかしルルが異様におかしい。

ルルはいつも、ミリアより早く起きて鼻歌を歌いながら朝食を作っていた。

しかし今はミリアと同じぐらいの時間で起きて、暗い顔をしながら朝食を作っていた。

「ルル、どうしたの?」ミリアが問いただしても何も言わない。

絶対に何か原因があるだろう。夜は何もなかった。

カタン。

ルルが静かにオムライスとサラダが乗ったお皿をミリアの前に置いた。

ルルはずっと下を向いている。そして、

「ちょっと気分が悪い。私の事なんか気にせずに、ミリアは旅に行って。」

そう言い残してルルは自分の寝室に戻ってしまった。

ミリアはルルの事が心配でたまらない。

ルアラに言うべきか。

しかしもう行く準備はできている。

今すぐにでも行けるような状態だ。

「どうしよう。」

しかし迷っているような暇はない。

よし!そうしてミリアはルアラのところへ行き、ルルを見てもらうことにした。

見ていてもらっている間はルルは寝ていた。

「う~ん。おそらく昨日、長時間時間を止めていたから疲れてこうなっているに違いない。時間を止める魔法は精神にも肉体にも圧がかかる。少し休ませておけば治る。」

そっか…。ミリアは安心した。

パン!ルアラは手をたたいた。

「では我々は出発するとしよう」

そしてミリアとルアラは島を離れた。ルアラが船を用意してくれたので、それに乗った。

久しぶりに海を見たミリアは思わず

「海ってきれいだな…。」とつぶやいてしまった。

ルアラもうなずく。

「こんなにも海はきれいなのに、海の使いである母はどうしてあんなことに…。」

「・・・・・・。」

しばらく二人は外を眺めながら静かに過ごしていた。

潮風がとても気持ちがいいな。そう思っていた時だった。

「リトルメルの人が私の好きな花を引っこ抜いてしまったので怒った。

島を半分にしちゃったけど、貴方達が嫌いなわけではないわ。今でも後悔している。」

突然ルアラは言った。

そういえば最初はそういう目的だった。

色々忙しかったミリアは旅の目的を忘れかけていた。

お母さんが亡くなってしまったのは覚えているけど。

「うん…。」そう言ってまた海を眺めた。

そしていつの間にか眠りに落ちていた。

目を覚ました時にはもう夕暮れで、目的地に近いようだった。

「ん…ここはどこ?」寝ぼけ気味でミリアは言った。

ミリア達の周りは海の底の景色だ。

「ルレルラの島の周辺は海に潜っても息ができるようになっているんだ。」

「え?ここは海の中?」ミリアは驚いた。

そういえば、第二のリトルメル島もこんな感じだった気が…。

そう思っているうちに進行方向に紫色の光が見えてきた。

もう目的地だ。そう言ってルアラは船の速度を下げた。

そして間もなく静かに船は止まり、到着した。

前には煙のせいで何も見えなかった。紫の光だと思っていたのは紫の煙だった。

ルアラはそそくさと前へ進んでいく。

追いかけるようにミリアは走っていった。


第十一章 終

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