第10話 何者からかの視線

「まず手始めに、すまないが鎖を解いてくれないか?」ルアラが言った。

ルルとミリアは鎖を解いた。

その瞬間!あたりがパっと明るくなったと思えば、目の前にいたはずのドラゴンが美しい女の人に変わっていた。どこかで見た顔だ。

「ルアラ!」ルナとルアラについて調べていた時に見つけた写真とそっくりだ。

「そうよ。私はルアラ。貴方たちのおかげで少し力を出せるようになったわ。」

ルアラはルレルラと同じく美しかった。深紅色の髪に燃えるような赤い瞳。

そして広がるバラのような赤いドレス。いかにも女の勇者のような人だった。

「次に貴方達のことを話してくれないか?」ルアラは聞いた。

冒険の途中、よくこれを聞かれたものだから

ミリアは説明するのが早く、わかりやすく説明できるようになっていた。

「そうか…。そのフェアリーゴットファザーは私の父だ。」

「え???」予想外の返答にルルもミリアもビックリする。

弟子のルルも知らなかったようだ。「そんな訳がないわ!!!」ミリアに言った。

じゃあなんでルアラの事を悪く言っていたのだろうか。

「私の父はルレルラに服従の呪文をかけられていたのよ。きっと。

ルレルラはその呪文はお得意のようだったから。乳母が言ってたわ。

この島の半分もその呪文にかけられているわ。法律で禁じられているのに。」

ルルとミリアは茫然とした。

「きっと、あなたたちにも少し魔法がかけられているわ。」

その魔法、取り除けます。そう言ってルアラは何らかの呪文を説き始めた。

体から何かが抜けていくような感覚。

今までルアラが悪い人だって思っていた気持ちが何故か抜けてくる。

何者からかの視線が続いていたことを頭から蘇ってきたと思えば、

叫び声と一緒に消えていった。

すると、

「もう終わったわ。」

ありがとう。ミリアはそう言おうと思ったが、言う前に違うことを口に出してしまった。

「数日前から気になっていたんですけど、後ろから何者からかの視線が気になっていたの。その視線が今、叫び声と一緒に消えました。それはいったいどういうことでしょうか????服従の魔法にかけれていた証拠ですか?」

そうだ。とルアラはうなずいた。

「で、結局私たちが行くべき場所はどこですか?」

ルルは言った。

「おそらくミリアの持っている写真裏の地図に書いてあると思われる。」

ルアラにそういわれて、ミリアはそそくさと写真を取り出した。

そして裏を見る。

すると前と違う地図が書かれていた。私たちが行くべき場所は…。

「ルレルラの家の下の海???」

ルレルラの家じゃなくって?どうして海なのか?

「どうして?」ルルとミリアは口を合わせて言った。

「私にもわからないわ。でも、行く価値はある。行ってみないと。

私もついてくるわ。この姿ならルレルラにも近づける。」

では明日までに行く準備をしてきます。そう言ってルルとミリアは

ルルの家に戻っていった。

ミリアは準備を始めたが、ルルはお茶の準備をしている。

「ルルは準備をしないの?」ミリアは聞いた。

「うん。ごめんなさい。私は行けないの。」

どうして?

「この家を守らなければならないし、それと…。」

それと?なんだろう?

「あんまり言いたくなかったんだけど、この島は少し重力が違うの。ほんの少しだけど。

人間はこのぐらいの重力の差ぐらい普通なんだけど、私は妖精だからこの島以外に行った

ら・・・。潰れてしまうの。だから…。ご、ごめんなさい!!!!!!!!」

頭を下げてルルは謝った。

「別にいいよ。」

ここまで付き合ってくれたのだから。

ルルは今食べる分と、旅の途中で食べられるようにお菓子と食べ物を余分に作ってくれた。

やっぱりルルのお菓子は美味しい。

明日も元気に旅立てそうだ。

ミリアは早くも睡眠をとった。


第十章 終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る