第9話 ルアラの真実

ルルがいる部屋のドアの前で足を止める。

ルルはルアラが封じた扉のせいで、フェアリーゴットファザーを亡くした。

ルルは大きな苦しみを味わっている。

何を言ってもルアラの戦いをすることをやめないだろう。

ミリアはルアラが悪い人ではないということを言うのをやめた。

良い人でもないからだ。


トントントントン。ルルとミリアは静かに足の音を響かせ洞窟の中で歩いている。

洞窟はいやな思い出しかない。今喋ったら、ルルや私は堪えていた悲しみがまたあふれ出てしまうだろう。

もうすぐ扉へつく。もう少しの辛抱だ。

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螺旋階段を上がっていく。どこにつながっているのだろうか???とそう思った時、ルルがボソッと言った。「ここから、ルアラの城の屋上までつながっているそうだ。」

え??外から城を見た時、とても高かった。その城の一番上である屋上。

これじゃ丸一日かかりそうだ。

そう思いながらミリア達は急な階段をずんずんと上がって行った。





もうすぐ屋上につくかな?そう思っていた時だ。

「きゃあああああああああ!」先に進んでいたルルが叫ぶ。

どうしたのかとミリアが見た視線の先には、一匹のドラゴンが鎖につながれて座っていた。

何故か悲しそうな顔をしている。体にはあざがたくさんあるが、なんとも勇ましいオーラが放たれていた。

ミリアは思わず、「あ、あの・・・。」とドラゴンに向かって言ってしまった。

言葉が通じ合う訳がないのに。と思ったその時だ。

「こんにちは。驚かせてすまない。君たちに危害を与えるつもりはない。

私はルアラ・メイアス。よろしく。」

そんな!とルルとミリアは戦う体制をとる。

「あぁ。そういう事か。」

ルアラがまるで状況が分かったような口調で言った。

「私を倒す前に、少し話を聞いてくれないか?」

そして二人はおとなしく話を聞く事にした

ルアラが静かな声で話始める。

「私はルレルラの娘。そしてそのルレルラにこの姿にされたの。」

どういう事?ミリアとルルは訳がわからなかった。ルアラは続ける。

「母は仕事でいそがしかった。幼い私はとても寂しく思いながら乳母に育てられていた。

母と関わったのは生まれた時と、仕事を頼まれたときだけ。」

「関わった?会ったじゃなくて?」思わずミリアは聞いてしまった。

「生まれたときは目が見えてなかったし、仕事を頼まれた時は手紙で頼まれただけで、会って話したわけでない。だから私は母の顔は写真でしか見たことが無い。」

「母は今になってから自分がしたことの愚かさに気づき、恥じ、私を自分に近づけさせないようにした。」

これじゃ話が違うじゃないか。ルレルラが言っていた話と真逆だ。

ずっと無口だったルルが急に怒り交じりの声でしゃべりだした。

「貴方が自分の母親をこの島に近づけさせないようにしたんじゃないの?」

「それが全く違うんだ。」ルアラはキッパリという。

「君たちがルアラのせいだと思ったこと全て私の母のせいだ。」

「証拠は?」ルルはまだ疑っているようだ。

「証拠か。この姿を見れば証拠になると思ったんだが。じゃあ君にこれを見せれば信じてくれるかな。」そう言いながらルアラは銀の輪を見せた。

しっぽにつけている。ミリアはなんなのかさっぱりわからない。

が、ルルにはそれが何かわかるようだ。

「こ、これは・・・。」ルルが戸惑っている。

「そうだ。これはダークシルバーリング。これを嫌いな人につけさせるとその人を呪うリングだよ。私は仕事を頼まれた時の手紙に同封せれていたよ。仕事を頼まれたのは15歳の時で、ダークシルバーリングなんて知らなかったから母からのプレゼントだと思って大事にいつもつけていたのだ。このリングの事を知ったのは20歳の時で、もう手遅れだった。でも私の力で闇の効果は一切無かった。が、しかしこの年になったら力も闇には勝てなくなってきて・・・」このような姿に。とルアラは言った。

これでルルも納得したらしい。

「ルナは?」ミリアは聞いた。

「ああ。残念だがその人はルレルラにつかまっていると思う。でも私の母は人を殺したり、危害は加えたりはしないから。おそらく、睡眠薬を飲ませて眠らせていると思う。」

そんな。でも死んだりはしていない。少しほっとした。

まず問題はこれからどうするかだ。

ミリア達は何からすればいいのか、この時点では分からない。

そんなことを考えていると、ルアラが言い出した。

「まず作戦会議からだ。」

そして三人の作戦会議は始まった。


第九章 終

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