第6話 妖精のルルと赤い屋根の家の秘密

2人が赤い屋根の家に着いた時には、もう意識を失っていた。

一日中歩き続けていたからだ。

目が覚めた時には、知らない部屋のベッドの上だった。


「ここは?どこ?」ミリアがつぶやくと、小さな女の子が部屋に入ってきた。

五歳ぐらいだろうか。ミリアに近づくと、楽しい声で、自己紹介を始めた。


「私は妖精のルル!フェアリーゴットファザー様の弟子なのだ!

来てくれてと~っても嬉しかったのだ!地下から人が倒れる音を聞きつけて行ったら、わぁ!もうビックリ!二人が倒れていたのだよ!フフッ!フェアリーゴットファザーに事情は聞いているから安心するのだ!朝食を用意するよ、これを着て、待っているのだ!(* ̄▽ ̄)フフフッ♪」そう言って、

スキップしながら女の子のルルは部屋を出て行った。


ルルの楽しくて可愛い声で、ミリアはすっかり元気になっていた。

少し変わったしゃべり方でびっくりしたけど、ミリアはすぐにルルに言われた通り、渡された服を着た。軽くて着心地の良く、少し可愛い服だった。

ミリアはその服をすごく気にいって、ルルと同じようにスキップしながら部屋を出て行った。リビングルームはミリアのいた部屋の真横だった。


美味しそうな匂いに引き寄せられて、ミリアはリビングルームに入った。

奥ではルルが鼻歌を歌いながら料理をしている。

ミリアは椅子に座って、ご飯を待つことにした。

ルナはどこにいるのか?とふと思ったが、

リビングルームの部屋の前のドアからルナのいびきが聞こえてきたので、

ホッとした。

「起きるまで起こさないようにしようかな。」そう思い、

おとなしくすることにした。


そんな事を色々考えていると、元気のいい声がした。ルルだ。

「お・待・た・せ!盛々チキンサラダと

1から作ったルルの特製サンドイッチなのだ!」

ルルの作ったご飯は想像を超えるものだった。

サンドイッチを一口食べただけで、幻を見ているようだった。生きててよかった。

「美味し~い♡」思わず声に出してしまった。その声でルナを起こしてしまった。

奥のキッチンから「でしょ!」と声がした。


部屋から出てきたルナも、ミリアの幸せそうな顔を見て勢い良くほおばった。

食事が終わり、ルルとルナとミリアは三人で会議することになった。

まず、ルルにとても詳しく今までの事を伝えた。

そして今後どうするかも伝えた。すると真剣な声で、

「真っ直ぐルアラのお城に行くつもり?そんなの無理な話なのだ。

リトルメルはルアラの好きな花を引っこ抜いた島なのだから、あなた達がリトルメルの人だって分かったら本物の雷が落ちて、闇にひきずりこまれるのだ。元々あの幻の花はルアラがこの地球のために、咲かせた花なのだ。あの花は島を守れる花だからね。

だから島一つ一つに心を込めて咲かせた花なのだ。ルアラが幼い頃にね。

ルアラが小さかった頃は素直で優しく、勇ましい子だったのに…。全てフェアリーゴットファザーに教えてもらった事だけど。多分島が二つに割れたのは、ルアラの怒りなのだ。」

とルルが言った。


「じゃあどうすればいいの?」ミリアとルナが同時に言った。

「策はあるわ。庭に幻の花を植えるのだ。」

「え?どうして?」ミリアが言った。

「元々この上の赤い屋根の家はルレルラとルアラの家だったのだ。

ルレルラが家の地下をくれたから今、ここにいるのだ。それでね、幻の花を咲かせておびき寄せる作戦なのだ!

城だと、警備が整いすぎていて危ないのだ。ルレルラが住んでいた場所で戦えば説得力が増すなのだ。」しゃべりすぎて疲れたとでもいうように、ルルはだらけた。

「戦うの?」ルナが心配そうに尋ねた。

「ルアラは強力な魔法使いなのだ。簡単に納得してくれるわけないじゃないのだ。」

「傷つけあうのはいやだな。」ミリアとルナは言った。


「…。」しばらく沈黙が続いていた。

ルルはそれ以外の手段はないという顔をしている。

ルナとミリアはじっくりと作戦を考えた。…。

するとルルが、「とりあえず咲かせてみるのはどうなのだ?」

確かに動き出してみないと何も変わらない。ミリアは賛成する事にした。

「賛成!」

「おびき寄せても、ここには来ないのだ。ここの存在は知らないのだ。」とルルが言ったので、ルナも賛成したようだ。

「僕も賛成だ!」

そして三人は幻の花を咲かせることにしたのだ。



花を咲かせることは簡単だった。庭にはしっかりした栄養を含む土で一杯だったし、そこに種をまいて水を与えれば完了だったからだ。

「ふうー。

あっ!花が咲くまで時間がかかるけどその間は家に泊まってくれていいのだ。」

ルルの言葉に甘えて、ミリアとルナは花が咲くまでルルの家に泊まることにした。

泊まるところを探すのは大変だし、花の観察も必要だからだ。

庭の近くに泊まるところはないだろう。

その日は幻の花の芽は出なかった。

「まだまだかかりそうね。咲くまでゆっくりと体を休めておこう」

そう言って、ミリアはルアラの国を少し観光することにした。勿論ルナも一緒だ。

しかしその頃にはもう幻の花をルアラが見つけていたのだった。


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