第4話 冒険の始まり

二人はルナが愛用していた潜水艦に乗った。

操縦は勿論ルナだ。

荷物を詰め込み、潜水艦は出発した。

潜水艦を自動運転に切り替えたところを見計らって、ミリアは写真の裏の地図についてルナに教えた。そして、今まで気づかなかったことも。

「へぇ~。ねえねえ、この紫の点、少しずつ動いているけど、

これ僕たちじゃない?」

ルナは紫の点を指さしながら言った。

気づきもしなかった。そしてミリアは言った。

「確かに!ねぇねぇこの点と点はリトルメルの一方ともう一方じゃないかしら?」

「お~。なかなかの気づきだ。」ルナが答えた。


そして虹色の点がある事に同時に気づいた。

「これは多分、私達の行くべき場所だ。」ルナとミリアは同時に言った。

ここからは遠くない。そう思ったルナはスピードを上げた。

辺りは見る見る暗くなっていった…。


目的地に近くなった時、海の深さは浅くなっていた。

すぐ近くに島があるのだ。ミリアはスピードを下げて!とルナに言い、外に出る支度をした。準備が終わった時には、浜についていた。

潜水艦から出てすぐ前に洞窟があった。

「ここ、入ってみない?」ミリアは言った。

ルナも賛成のようだ。


洞窟に一歩踏み入れると、そこはキラキラと光る宝石で埋め尽くされていた。

ここは懐中電灯はいらないだろう。そう思って、ミリアは持っていた懐中電灯を鞄に戻した。しばらくは同じような光景だった。そして段々安心してきた。

途中でルナがダイヤモンドを取ろうとしていた時は、ハラハラしたけど。

そして出口と思われるところまで来た時、辺りは光に包まれていた。


ミリアとルナが気づいた時、二人は半分海に浸かっている屋敷に運び込まれていた。

「お姉ちゃん、ここはどこ?」ルナが言った。

「多分私達が行くべき場所だと思うわ。どこから光が出たのかもわからないし、だれが私達を運んだのかもわからないけど。」と私は答えた。

すると、部屋のドアがガチャリと開いた。そこには、美しい老婆が立っていた。

つやつやの髪に澄んだ青い目。そして、しわ一つない顔に、ひらひらのドレスを着ていた。

「だれ?」思わずミリアは聞いてしまった。「しまった。」と思い、口をふさいだ。

老婆はそれを見て言った。

「あらあら、気にしなくていいわよ、お嬢様。私の名前はルレルラ。海と大地の使いよ。」

そして老婆は深呼吸して言った。

「貴方達がここに来た理由はもちろん知っているわ。

そして次に向かわなければならない場所も。でもその話をする前にここで一回リラックスしたほうがよさそうだわ。そうしない?。」

ミリア達は黙ってこくりと頷いた。

まずお風呂に入ってきなさい、と言われたミリアは風呂に浸かりながら考えた。

ここが本当の目的地じゃないってこと?

  あのお婆さんは本当に海と大地の使いなの?

  私たちのことを知っているのに何で助けてくれなかったの?

  お婆さんは一人なの?

そんなことを考えていたら、のぼせてきた。ミリアは持ってきた新しい服に着替え、おばあさんのいる所まで行った。そこには、たくさんのお菓子やご飯が置かれていた。

ルナはもういて、椅子に座ってそれらを食べていた。

「ありがとうございます!」

そう言って、ミリアも席へ座った。とても美味しい料理だった。

一つ一つお婆さんが作ったらしい。「美味しい~!」


食事に区切りがついたところで、ミリアは言った。

「あの、次に向かわなければならない場所ってどういうことですか?」

ルレルラは答えた。

「家族写真があったでしょう?あれはね、魔法がかかっていて、本当の目的地に着くために、順番に行く手段を教えてくれるのよ。」

「一発でいけないのですか?」ルナが聞いた。

「冒険というのは色々旅をして、やっとのことで目的地に着くの。

どんな方法でも一発で行く道は開かれないのよ。」


ルナは納得していた。次の質問をミリアは言った。

「海と大地の使いなのにどうして一人なのですか?」

「私はもう老婆の身。対して強力な魔法が使えなくなってきたの。

今まで皆をまとめていたのに…。そして、私がいなくなったら、魚も人間も動物も植物も生きていけなくなってしまうわ。だから私の娘、ルアラに役目を授けたの。

娘は大地と天空の使よ。そして、足りない力…海よ。それらは私が補っているの。だからほとんど私はただの老婆よ。海は元々綺麗で、魚たちは、使いの力が少しでもあれば生き延びられるの。だから召使はいらないわと言っているの。一人のほうが落ち着くし、魚のお友達もいる…。」


深呼吸をおいて言った。

「あなた達が行く所は、ルアラのところよ!」

すると、ルナが言った。

「娘なら連絡を取ったほうが早いのでは?」

ルレルラは首を横に振った。

「それが…。私は娘を生んだ後、仕事に忙しくてルアラにかまってられなかったの。

会ったのは生んだ時と仕事を頼んだ時依頼なの。母親失格ね。

あの子は親への愛を知らずに育ったせいか、あの子の周りには私が入れないようになっているの。役立たずの母の復讐のようなものだと思います。だから私からは無理な話なのです。」泣きながら言った。


ルナとミリアは納得して、立ち上がった。

「私達、やります。そして、お婆さんの愛も必ず伝えます!」

それを聞いたルレルアは笑顔で、

「感謝しかありません。」といった。

写真裏の地図は変わっていた。目的地に向かって、二人は進みだした。


第四章 終

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