第3話 ミリア、旅立つ

ミリアは朝早く起きた。

とても美味しい朝食をおなか一杯に食べて、満面の笑みを浮かべながら、

まずエナールのもとへスキップしながら向かった。


「エナール!私行ってくるね!」

ミリアは元気一杯に言った。

「ミリア。死ぬのじゃないよ。気を付けて行ってらっしゃい。」

エナールがこんなにも穏やかに言ったのが久しぶりで、

ミリアは嬉しい気持ちになった。


ミリアは水辺に向かい、小さな船を用意し、出発した。

船の乗り方は知っていた。小さい頃から家庭教師に教わったからだ。

「よし!」

ミリアは一呼吸を置いて、進みだした。


今から始まる未知の世界。広がる海の上でミリアは、のんびりと過ごした。

目的地まではまだまだ遠いから。

緊張と寂しさが頭によぎった。

その気持ちを紛らわすため、ミリアはまず日記を書くことにした。


まだ始まったばかりなのにと思いつつも、もしルナとパパにあった時、

見せられるように、小さい頃のことも書いた。


気づいた時には夕日が落ちかけていた。

お昼ご飯は、お腹が空いていなかったので食べなかった。

ミリアは持ってきた夕食を食べ、毛布を敷いて、眠りに落ちた。

夢の中でミリアは家族と一緒に遊んでいた。

家族四人揃って。

美しく、切ない。

届きそうで届かない夢を見た。


ミリアが眠っている間、空は満天の星空が広がっていた。

起きた時には何とも言えない気持ちになっていた。


ミリアは持ってきたサンドイッチを食べ、朝の体操をした。

お城では習慣にやってきたからだ。

「1・2・3・4!」 「5・6・7・8!」

明るく元気な声でミリアは体操していた。


その時、辺りは一変した。

ミリアの上に雷雲が現れ、激しい豪雨が降り、津波が押し寄せた。

ミリアは急いで大事な物や持ってきた物を鞄に詰め込んだ。


そんな中、ミリアは海の底に小さな光がある事に気が付いた。

もう船は無くなっているし、

どうしようもないと思いミリアは光の方へ泳いでいく。

海の中はまだ荒れていた。

手と足がとられそうになりながらも、ミリアは一生懸命

光の方へと泳いだ。


しばらく泳いでいると、辺りは静かになっていた。

魚は穏やかに泳ぎ、水の音も今まで何もなかったかのように、

さわやかに流れていた。

別世界に来たようだ。

ミリアは長い間潜り続けて苦しくなっていたが、

なぜかここは普通に呼吸できるのだった。

少し奇妙になりながらも進んでいった。

進むうちに光の数が増えていった。

「何だろう?」

そう呟いていると光の正体がくっきりしてきた。

「島だ。」ミリアはビックリした。

ミリアはすぐにリトルメル島だと分かった。

なぜなら、自分の国と同じ紋章が飾られていたから。


門に入ってすぐに人がいた。

目が合った途端…。

叫びだした。「リトルメルの姫様が来た!」

「ビックリ!」「やったー!」「私達を救ってくれるわ!」「神様!」

正直盛り上がりすぎていて、驚いた。


ミリアはリトルメルの二つ目のお城へ招かれた。

ミリアはドキドキしていた。13年ぶりにお父さんとルナに会えるのだから。

こんなにも簡単に用が終わって、良かったと思った。


お城は純白で、所々にサンゴや真珠が埋められ何とも美しいお城であった。

「こちらです、ミリア様。」城の召使が部屋へ案内した。

扉は開かれた。しかしルナの姿はあったが、お父さんの姿はなかった。

代わりに、輝く木箱が置いてあった。

ミリアは絶句した。

木箱の中身が分かったからだ。お父さんだ。お母さんと同じように亡くなってしまったんだ。しかし、ミリアは気を取り直して言った。

お母さんに泣くなと言われたから。


「こんにちは。リトルメル島のもう片方から来た、王女のミリアよ。

母は亡くなってしまい、島の呪いを解くためにやって来たの。」

すると、ルナが、言った。

「こちらからも、こんにちは。来てくれてありがとう。

僕はルナです。父は僕が幼い頃からいませんでした、

だから僕は父の事あまり知りません。

母は亡くなられたのですね…。ところで島の呪いって何でしょうか。」

あまりにも敬語でミリアはびっくりして言った。

「普通にしゃべっていいと思うよ。だって家族よ。それよりもまず、

島の呪いについて言うわ。母の死にも関係あるから。」

そうしてミリアはエナールの言っていた事を語った。


「…。」少し静かな時間が続いたが、やっとのことでルナが口を開いた。

「分かった。お姉ちゃんについていくよ。呪いのことも気になるし、僕、冒険に行ったことが無かったのだ。お父さんの事もあるし…。」

そして、ルナはミリアと一緒に呪いを解くたびに出発した。


ミリアはリトルメル島の人からご飯をもらい、持ってきた家族写真を眺めていた。

ミリアが写真をひっくり返したらなんかの地図が書いてあった。

「わっ!」ミリアは思わず声をあげてしまった。

何とも美しい地図後で、細かかったから。そして色合いも。

何で私は今まで気づかなかったのだろう。

ミリアは不思議に思いながらもじっくり見つめなおした。

「これはルナに見せなきゃ。」

ミリアはすぐさま思った。

そして、すぐに出せるようにポケットにしまい、ルナを待った。


ルナの準備は少し長かったが、やっとのことで出てきた。

ルナの格好を見たミリアと周りの人達はびっくりした顔を数秒間していた。

スキーの道具や、おもちゃの車、漫画、花束、人形、更には貝殻などをパンパンに詰めたリュックを持っているルナが前に立っていたから。


…。あまりにも驚き、ミリアは何も言うことができなかった。

ミリアは無言でルナの前へ進み出て、リュックを取り、いらないものを放り出した。

「僕、何持って行けばいいか分かんなかったんだ。」

ルナは正直に言っていた。「別にいいわ。」ミリアはそれほどおこっていないことを伝えるために軽く言った。

そして、リュックはほとんど空っぽになってしまった。


そして、今、この瞬間、ルナとミリアの旅が始まったのです。


第三章 終

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