第三章 7
侍女シュタムは、国境の丘に差し掛かって宮殿から黒煙が上がるのを見ていた。
「煙が……」
ではアルトゥムは、やはり約束を
シュタムの普段無表情な顔が、憎悪に歪んだ。
おのれ。一国の国王が約束を簡単に破るとは。ルドニークはこれを忘れない。必ず報復に出るぞ。
手元に抱いた白猫がにゃあ、と鳴いて、シュタムは荷物を抱え直した。
そして、後ろを振り向かないで歩き始めた。
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